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俺、異世界で悪魔になりました! ~あくおれっ!~  作者: 紅羽ユウ
転生したら、悪魔になってました。
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モンスターに遭遇した! コマンド?

 俺は街の人たちに聞き込みをし、いくつか分かったことがある。

 まず、この世界にはモンスターという名の怪物が潜んでいるということ。

 この情報には流石に俺も困惑した。いや、正確には泣いた。

 ……なんか異世界っぽいところに転生してしまったっぽい。

 ここは普通なら喜ぶところではあると思うが、異世界転生なんて聞いてないぞ?

 そりゃあ別世界という事は分かっていたが、モンスターが出るなんて知らなかった。

 

 というか異世界なのに言葉通じるんだ。転生したおかげで言葉も分かるようになっているのだろうか?


 ……まあ、それについてはもう面倒くさいし後々考えるとして。

 次に、アイテムや武器などを駆使してモンスターを倒すということ。いかにもゲームっぽい戦い方だが、この際もう考えないことにした。

 一つ一つ冷静に考えていたら日が暮れてしまう。

 ポジティブにね、ポジティブに。


 ……まあ。今は、それよりも、だ。


「俺はどうすればいいんでしょうかねえぇ?」


 そう。

 金より切実な問題が一つある。

 それは先ほど、ライアと名乗る少女としてしまった約束だった。なんでも、友達がモンスターの手によって危険な目にあっているらしい。

 それを俺が、手伝うということに。

 いや、フツーに考えてみろ? 無理だから。俺が誰かの役に立ったことなどかつてあっただろうか?

 しかも美少女といきなり接触してる時点で危うい。神様の悪戯ってやつなんだろうか。


「……よし、どこか遠いところへ逃げるか?」

 いや、やめよう。さっきもこの考えは持ったが、やはりクズ野郎すぎる。

 あああああもうどうしよう。

 もう帰りたい。帰ってゲームしたい。



 ――――――俺がどうしようかと唸っていると、とうとうライアが来てしまった。

「ドキン!」と俺の心臓は高鳴る。

 ヤバい、ヤバいぞ。俺の心臓がサイレン緊急音で埋め尽くされていくから。

 エラー発生中! 故障中! 死にます!


「お待たせしました! ……ってアレ? 装備は……」

「え? あ、ああゴメンゴメン! え、えーと……今ちょうど修理に出しててさ。大丈夫だよ。十分戦えるから!」

 必死に考えついた嘘に、ライアは困ったような表情を見せた。

 ね、そりゃあそうだよね。装備どころか武器もなしにどう戦えというのだろう。

 さあ、去れ。去るのだ。

 俺の顔が焼け野原になる前に、一刻でも早くこの場を……


「そ、そうですか? じゃあ頑張ってくださいね!」


 ………。

 ……え、アレ? 

オイオイ待て、待ちやがれ。


 なんだろう。普通この状況だったら他に助けてくれそうな人探すよね?

「すみません、やっぱいいです」。うん、この一言で済んだハズだ。


 ……ひょっとしてこの子、天然なのだろうか。

 ふとそんな考えが、俺の脳裏をよぎる。

 正直言って、俺はもう行きたくないんだ。モンスターと戦うなんて無理に決まっている。

 ……遭遇したら二秒で死ぬわ。

 なんだろうこの子。普通もっと不審がると思うんだけどなあ。


 しかし俺がそう思っていたのもつかの間、ライアはどんどん先へと進んで行ってしまっていた。

 俺は慌ててその後を追う。


 ……もう、何とでもなりやがれ。


 いやー、それにしてもやっぱり可愛い子だな。

 装備はなんか青いキラキラしたのを着てるし、スキップしながら歩いている姿がまた可愛らしい。

 そんな変態的な思考を脳内で再生しながら、俺は頭を掻きながらライアの後を追う。

 そこで、今の俺の格好とライアの格好を比較してみた。


 ……うん、やめよう。フツ―に凹むわ。俺が悪魔だとするなら、あの子は天使のように見える。

 どう考えても悪魔と天使じゃ釣り合わねえ。悲しいね。

 

 ライアの後をついて行くとクエスト受付窓口? みたいなところに入り、確認を済ませた。

 なんか手続きがどうのとかでいろいろ大変だったがな。

 あと女の人たちの視線が痛かったが、気にしてはいけません。コミュ障の俺も、必死で耐えた。

 

 全国の皆さん。これから先、辛い事あると思いますが、諦めないでくださいね。絶対に、頑張っていれば酬いは受けるハズです。


 ……遺言、考えとこうかなあ。


  

                ■

 

  

 ――――――数十分後。

 俺たちは雑木林みたいなところに到着した。

 まさか街を抜けた先に、こんな大自然が潜んでいるとは。

 なんかやたらと薄暗いが、本当にこんなとこにモンスターが潜んでいるのだろうか。

 薄暗い中女の子と二人きり。

 予想外に希望を感じるシチュエーションである。いや、何もしないけど。


「あの先です。私の友達がいるのは。あの時は私攻撃しようとしたんですけど、何もできなくて……」

 そう言ってまたシュンと俯くライア。

 俺は頭を撫でてあげようか、とも考えたが、嫌われそうな気がしたのでやめておいた。

 一応、コミュ障がまだ完全に治ったわけじゃない。冷静に、落ち着いて行動しよう。

「大丈夫だよ」とだけ俺は返して、再び先へと進む。


 

 ……話は変わるが、両親は今なにをしているんだろう。部屋に引き籠もっていたので顔を会わせる機会は少なかったのだが、なんやかんや俺を心配してくれていた。

 お母さん、お父さん、見てるかい? 俺、なんか異世界来て、おかしなことになってます。


 うわああああん、俺もうおうち帰りたい。

 こうなったら一刻も早く、この世界から脱出してやらねば。いま俺の前世ではきっと親族が悲しんでいることだろう。

 くっ、泣くな、俺。これしきでへこたれるな。男だろ。

 しかしそんな俺の思いも虚しく、目からは水があふれてきている。


 ……ああ、それにしても疲れた。やっぱり俺、もうニートに帰りたいなあ……。

 アニメ! ゲーム! 漫画! パソコン!


 ――――――俺がそんな現実逃避を開始した時だった。

 俺の真上に薄暗ーい影が現れて……


「……ん? 何だr」

  

「グオオオオオオオオォォォォォォ!!!!」

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 鼓膜が破れそうなくらいバカでかい叫びが、雑木林一面に響き渡った。

 そして同時に、俺の悲鳴もハモる。

 森に入ってまだ十分も経過してない。なにこのアンラッキーパワー。

 俺は内心ビビりつつも、雄叫びのした方向を見た。


「アイツです! 私たちを襲った龍! 名前は―――――」


 雷電龍ゼルドギア。

 その中二病臭いライアの一言が、バトルスタートの合図となった。



モンスターに遭遇しました。どうすればいいんでしょう。

ちょうど僕も今、ゲームの中でモンスターと遭遇したところです。

引き続き楽しく読んでいただければ幸いです。

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