ティールの頼み事
「はい、確かにクエスト成功ですね。こちらが報酬の40万ゼニーとなります」
クエスト受付窓口のお姉さんに、スマイルで大金を渡された。
結構な量の報酬が手に入った。しばらくは生活には困らないだろう。
しかし俺は金より、クエスト成功か失敗かの判断の仕方に驚いた。なんでもクエスト依頼書にモンスターを倒した数が記されていくらしい。
すごいよ、ホントすごいっす。俺の前世の科学技術とは比べものにならないっす。
「ふあ……眠い……」
アークが気だるそうに大きく伸びをした。
このままでは暇人ハンターになってしまう。なんとかしなくては。
俺は「これからどうする?」のジェスチャー。最初はなかなか伝わらなくて苦労したのだが、やってる内に三人とも分かってくれるようになってきた。以心伝心というヤツだろうか。
「そうですねー。やることもないですし……これこそ暇ですね」
「だな。かと言ってぼーっとしていたら無駄な時間を過ごしてしまう……どうしたものか」
俺たちは空を見上げた。
時刻を見ると、午後2時となっている。宿を探しに行くにはまだ早すぎる時間だしなあ……
なんかもう老人って言われてもいい気さえしてきた。
「あれ? 京夜じゃねーか。どうしたこんな所で」
その男の声で、俺はハッと目覚めた。
……コイツのこと完全に忘れてたわ。一瞬だけ「誰? このマッチョ」状態になったもん。
名前は……テエール? いや違うな、ティールか。
「どうした? なんか喋ろよ」
「ああ、実は京夜はな……」
喋れない俺に、コハクが新設にティールへと説明してくれた。
できればティールには説明したくなかったのだが、もうこの際仕方がない。
「ぶっはっはっは! なんだよそのマヌケな理由! インコって、そこにいるインコにか!? 舌噛んで!? ぶわっはっはっは!!」
「ね、ホントマヌケですよね! あ、思い出したらまた……はあ……はあ……」
予想通りティールはピピが乗っているライアの肩を指さしながら、大爆笑した。
なぜか他の三人まで爆笑している。
くそ……なんで俺はいつもいつも、運に恵まれないんだ……
「はあッ、はあッ、ゲフンゲh……ふう、よし。京夜。ちょうどいい。お前に頼みたいことがあったんだ」
かすかに口元をニヤつかせながらも、ティールは俺に目を向けた。
頼み事をするんならせめて真剣そうな顔で言えよ。笑いたいのは分かるけどさ。
「お前、魔物モンスターって知ってるだろ? ちょー強いヤツ。あれが最近、俺たちの村に現れてさ。まあ当然そんなヤツら、俺たちだけじゃ無理だ。手伝え」
なんで頼む方が上から目線なんだよ。
「俺たち」ってことは、ティールは他にも仲間を連れているのだろうか。
「報酬なら渡すぜ? 活躍次第だけどな。お前ら暇してそーだったから、どうかなって」
「よし、いいよ! その頼み事、乗った!」
「暇してましたし、ちょうどいいかもですね」
「ああ、魔物モンスターとあれば手加減なしだ。ゼルドギア以来の大物となるかもしれない」
ゼルドギア……? ああ、俺が最初に倒したヤツか。あのビリビリするヤツ。
……まあ確かにやることもないし、受けてもいいか。
俺は認知症化し始めている頭を押さえながら、ぼーっとその会話を聞いていた。
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