表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、異世界で悪魔になりました! ~あくおれっ!~  作者: 紅羽ユウ
天使と悪魔、どっちでしょうか??
37/299

バカインコ! HPが30減った!

「あー! いた! 二人ともー!!」

 遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 幻聴でも聞こえたのかと思ったが、喋っている内容を聞く限り本当っぽい。

「もー、捜したんですよー? 朝早くから探しに行ったのに、見つからないから……あ! それよりも! ピピが見つかりましたよ、ホラ!」

 そう言ってライアは、自分の肩を見してきた。

 するとそこには、元気そうにピーピー鳴くピピの姿がある。

 ああ、良かった。これで見つかってなかったらまた厄介なことになってたしなあ。

 俺はもう体ボロボロだし、できれば早くどこかで休みたい。

「そりゃあ良かった……で、ピピは一体どこに行ってたんだ?」

「え? 何が? 見つかったって……」

 混乱しているアークをよそに、俺はライアへと尋ねる。

「それがですね……木の枝に引っかかって身動きできなくなってたんですよ。そこを私たちが偶然見つけて、助けてあげたんです」

 ……このバカインコ。

 だがもう、俺には怒る気力すら残っていない。ここはさっさと街に帰って、宿を見つけて――――――――


「バカキョーヤ! クソバカキョーヤ!」


 …………。

 ……は?

 このインコは今何て?

「バーカ! クソバーカキョーヤ!」

 なっ……

「うるせえ! このクソインコ! 唐揚げにして食うぞ!? ああっ!? テメエこそ木に引っかかって動けなくなったクソバカインコじゃねーか! ざまあみろ!」

 これにはさすがに俺もキレた。いや、キレていいはずだ。

 散々昨日も今日もがんばって、日々一生懸命に生きている俺が、なぜインコからクソバカ呼ばわりされなくてはならないのだ。

 絶対に俺は今怒っていい。

「クソバーカ! バーカ! クーズ!」

「テメエなあ……俺のことなんも知らねーくせに決めつけんじゃねーよ! なんなんだよ! 清楚な見た目しやがって中はドス黒ってか? モンスターにでも食われろこの猫かぶりドス黒インコ!」

「バカキョーヤ! ドスグーロ!」

「お前のことだよバカインコ!」

 後ろでヒソヒソ陰口を言い合っている三人が気になる。聞こえた内容は「なんでインコと会話できるんでしょうね……あの人一体何者なんでしょうか」「きょーや大人げない……」「もはや彼は天才だ」など。

 ……大人げない? もうこの際関係ねえ! 俺子どもに戻るもん!

「バーカ! ニート!」

「うるせえんだよ! 焼き鳥の方がいいか!? このバカイン……ゴッ」

 そこまで言って、俺の動きは停止した。

 ……舌噛んだ。

 ヤバい、痛い。血が出てる。

「バーカ♪ バーカ♪」

「なあっ……テメひぎゃああああああああああ!!」

 これホントにダメなやつだ。

 痛いぃ! マジで。シャレにならない。

「ぷっ……あはははは! インコと喧嘩して舌噛むとかwwwどんだけマヌケなんですか!」

「はあ……はあ……お腹痛い……」

「ぶふっ……ふーっ、ふーっ、きょ、京夜、時にはそういうこともあるさ……プッ……」

 だからフォローになってないんだって。笑って言われてもちっとも励まされないから。

 ああ、もう死にたい。

 なんで森に入って、体力散々使って、インコに悪口を言われなくちゃならないんだろう。

「がっ……はっ……」

 喋ることができないので、俺は「街に戻るぞ」のジェスチャー。

 呼吸困難になりかけていた三人だったが、なんとか了承してくれた。

「ニート♪ ニート♪」

 ……このインコ本当食べてやろうかな。

 いや、廃品回収にでも出した方がいいだろうか。


 俺はピピの悪口を聞きながら、フラフラの足を動かし始めた。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ