激マズカレーライス! 体力が10減った!
「うっ……ライア。これ、材料は何を入れたんだ?」
コハクさんが私の作ったカレーを食べながら訊いてきた。
私はスプーンを置き、自信満々に答える。
「ちょうど私の近くをトカゲが通ったので、ソイツを入れてみました。他にも薬草なんかを」
「へ……へえ……」
コハクさんは興味深そうにカレーを眺めた。私のカレーはそんなに美味しいのだろうか。
私もカレーを食べてみると……うん、美味しい!
自分でも上手く作れたと思う。やっぱり小さい頃に褒められたのは嘘じゃなかったみたいだ。
私は嬉しくなって、パクパクとカレーを口に運ぶ。
「ううっ……すまない、ライア。私今あまり食欲がなくて……」
「えっ! 大丈夫ですか!? 安静にしていてください!」
私がコハクさんをテントまで連れていくと、ぐったりとコハクさんは倒れこんでしまった。
顔は青ざめていて、とても元気そうには見えない。どうしたんだろう、何か怖いものでも見たのかな。
コハクさんの背中をさすりながら、私は再びカレーを口にした。
……うん、やっぱり美味しい! 自分で言うのもなんだが、もしかしたら私はすごい才能を持っているのかもしれない。
コックさんにでもなれば良かったかな。
「ああ、ライア……すまないな……後片付けは私が……」
「いえっ、私がやりますよ! コハクさんはもう寝ててください! 顔色が悪いですよ?」
「あ、ああ……分かった、ありがとう……」
そう言ってコハクさんはすぐに寝袋へと入ってしまった。
大丈夫かなあ。風邪とかじゃなければいいんだけど。
それにしても、トカゲを入れたのが良かったのだろうか、味がよく染みている。
私はカレーを一通り食べ終えると、後片付けを始めた――――――
「ふああ……おはようございます、コハクさん!」
「あ、ああ、おはよう……」
早朝に鳴り響くスズメたちの声。
私たちはピピを捜すべく、早起きをしたのだ。昨日は早く寝たから眠気もない。
コハクさんはまだ少し辛そうだが、昨日よりは体力が回復したみたいだ。
私は急いで朝ごはんの準備を始めた。
それと同時に、コハクさんが驚きの表情を浮かべる。
「昨日のカレー、残しておきましたから食べましょう! 2日目のカレーは美味しいってよくいいますよね」
「い、いや!! 私はまだ食欲がないのでいらない。ライアが食べてくれ」
「もー、ちゃんと食べないと体が持ちませんよ?」
そう言いながらも、私は残りのカレーを全て平らげた。
それと同時にコハクさんがホッとしたかの表情を見せたが、気のせいだろうか。
バックに入ってあった水で後片付けを済ませると、私は急いで荷物の整理を始めた。少しでも早く出発した方がいいハズ。
コハクさんの準備が終わると、私たちはテントを外す作業を始めた。
痛いぃ! 足がっ! 足がああ!!
「ううっ……ライア、平気か……?」
「平気なワケないじゃないですか……あああああ!! しびれたああ!!」
私は昨日と同じように地面へと転がり込んだ。
コハクさんも足がしびれたみたいで、痛そうにその場にうずくまっている。
この作業は非常に危険だ。できればもう二度とやりたくない。
私たちは何とかテントを外し終えると、再び地面へと転がった。
あ、寝っ転がるのってこんなに気持ち良かったんだ。
「ふう……じゃあそろそろ出発しますか。京夜さんたちも捜しに行かなきゃいけませんしね」
「ああ、そうだな。あの二人なら多分……元気にやれているだろう」
「あー……そんな気がします」
私はテントをしまいながら、アークに振り回される京夜さんを想像した。
やっぱり大変だろうなあ、京夜さん。実質一人でサバイバルしてるようなものだろうし……
まあ、あの人は案外しぶといということをこの数日間一緒に過ごしてみて分かった。アーク一人ぐらいでやられることはないだろうけど。
でも、ここは一刻も早く、二人と再会しなければ。
「よし! じゃあコハクさん、行きますか!」
「ああ! ピピも捜さなければいけないしな」
私たちは青空の下、森への一歩を踏み出した。