決着
「ひっ……」
残った数人の天使達が、小さく悲鳴を上げたのが分かった。
……もう二人、誰か来るな。
俺の予想通り、背後から光をまとった槍がこちらに飛んできたのが分かった。
「『バースト』」
光の結界を張り、俺はその攻撃を防ぐ。
攻撃は食らっても痛くないが、身体の動きが鈍くなる。余計なダメージを身体に与えたくない。
「……随分と命に無頓着になったみたいじゃないか、佐々木」
「黙れよ」
背後から聞こえてきたミカエルの声。
俺は冷静なその声に、苛立ちを覚えながらも振り返った。
「全く、どこのヒーロー気取りだ、貴様は? 行かせないなどと、無謀な事を言い―――」
「死ね」
そこまで言って、ミカエルは黙らされた。
勿論、腹部を貫通させた俺の右拳によって。
「……油断ってのは、正にこういう事だな。天使達の扱いも、おざなりになってんじゃねえの?」
俺は無残な死体となって転がっている天使達を見ながら、そう呟いた。
「俺はお前みたいに、仲間の死を悲しまない様な人間じゃねえんだ。それなりに感情だってある。ただし―――」
「……が」
「どーん」
俺はミカエルの頭をへし折った。
ぐにゃりと曲がった首に、踵を撃ち込み、完全に地面へと叩き付ける。
「———あくまでそれは、『仲間』の場合な」
俺はラファエルを踏みつぶしながら、天使達にも聞こえる様にそう言った。
「———かかれっ!! 足を狙え!」
ゼウスの焦った様な声が聞こえたが、もう遅い。
俺は空中へ大きく飛び立つと、そのまま風の勢いを利用して一気に急降下していった。
狙いは、余っている数人の天使達。
「えっ」
小さな声と共に、切り裂かれていく天使達の身体。
「『ダーク』」
「「「……っがあああああああああああああああああああああああああああ!!」
魔法によって飲み込まれていく、天使達の身体。
あまりにも唐突に消えて行く命に、きっと残りの奴らも驚いてる事だろう。
「死ね。死ね。死ね。誰も悲しまなくていい様に、消えていなくなれ」
「ぐ、が……」
「ぐちゃ」
「がっ」
俺はミニトマトを潰す様に、頭に圧力をかける。
「消えろよ、ミンナ。オマエらも、ミンナ。俺も、含めて」
「はっ――――?」
残っているのは、ふたり。ゼウスと、アマテラス。
おれが、コロス。
「ッ――――! 躱せ、アマテラスッ!」
「ウルサイ、オソイオッサン。ぐちゃぐちゃ」
「……!? ……が、ぐ」
「ゼウス様あああああああああああああああああっ!!」
「だから、ウルサイってば。オマエも、バイバイ。売買」
「が」




