京夜の復讐作戦
悔しい。
悔しすぎる。
なんで二回も騙されてしまったんだろう。いや、一回目はアークも騙されたけどさ。
あれは避けようが無かったのかもしれないが、まあそれは置いといて。
俺は一つ、ある作戦を考えた。
復讐。
復讐である。
さすがに俺もこのまま黙っているワケにはいかない。俺は魔法の習得が終わった後、一人で作戦を考えたのだ。
まず今の時刻は、夕方の5時半。そろそろ宿を探しに行く時間である。
どこの宿に行くかは分からないが、今日は魔法を練習していたため少し探しに行くのが遅くなった。そのため、おそらく泊まる先は最初の日に行ったあの旅館だろう。
で、こっからが本題だ。
泊まる先があの旅館だとするのならば、あの旅館のメリットを有効活用すればいい。
あの旅館のメリットと言えば、風呂だ。風呂がやたらデカくて、のんびりと過ごせたのを覚えている。
まあもったいぶらずに言ってしまうと、電気風呂を俺は作りたい。
俺が今日覚えた電気魔法を使うのだ。あの後練習しまくったから、今でもよーく覚えている。
俺が覚えたのは、触れた場所に電気を発生させる、というものだ。風呂に触れまくって、電気を大量発生させる。
体力もだいぶ回復してきた。準備は万端だ。
ちなみに。
「どうやって女湯に侵入するの?」そう思うだろ?
ふっふっふ、甘いな。そんぐらい俺でも考えているのだよ。
「これを使えば……」
俺は道を歩きながら、小さくつぶやいた。
実は数日前再び雑貨屋に行ったとき、ある物を見つけたのだ。
……そう、透明マ✕トである。
まさか異世界に来てドラ✕えもんの道具を発見するとは。ジャ✕アンのシチューはあったけど。
俺は何かに使えるかも、と思いそれを購入した。まさか今、こんな作戦で役に立つとはなあ!
「なあ、みんな。宿はどこに泊まるんだ?」
俺はウキウキ気分で訪ねる。
「うーん、もう空いてる場所もあまりないでしょうし、あの旅館ですかね。女将さんにはまた挨拶しないと」
はいキタあ!
オイオイオイ、完璧な計画じゃねえか。最近は別の宿に泊まっていたからダメかと思ったが、神様は俺に味方してくれたらしい。
「みんな、私は前にも行ったが最近ここに来たばかりで……分からないことがあったら教えてほしい」
「いいよー!! いろいろ教えまくってやろう!」
女子組三人がじゃれあう中、俺は一人でグヒヒ、グヒヒとゲスな笑みをこぼしていた。
人間、時には仕返ししなければならないことだってあるのだ。
宿に着くと、見覚えのある女将さんがお出迎えしてくれた。
「あらまあ、これはこれはどうもお久しぶりです。部屋がごあいにく一部屋しかないのですが、どういたしますか?」
え、またかよ。
俺はもうちょい早く来れば良かったと思いつつ、女将さんに一部屋、お願いする。
「あら、もう一人新しい方がお見えになっていますが……どうぞよろしくお願いします」
「コハクと申します。よろしくお願いします」
コハクはそう言って、ペコリとお辞儀をした。なんかその姿が妙にサマになっているので、ちょっとカッコいい。
「……さて」
俺はライアとアークが布団へダイブしていくのを片目に、メタル装備を脱いだ。メタルソードの修理が今日終わったので、やっと俺も明日からはちゃんとした戦いができる。
……え? じゃあ今まで戦いはどうしてたのかって? アイテム取りに行ったり、薬草なんかの回復効果のある草を取りに行ったり……まあ、パシリですね。はい。
俺は作戦を振り返りニヤニヤしながら、布団へと倒れこんだ。
( ;∀;)( ;∀;)引き続きよろしくでーす!( ゜Д゜)( ゜Д゜)




