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脳が汚染されました

 クエスト受付窓口へ俺達が向かうと、そこは既に阿鼻叫喚と化していた。

「おい、ヤベエぞ! アルゼ村だけじゃねえ、他の街でも魔物モンスターの襲撃があるみてえだ!」

「う、嘘だろ!? なんでいきなり……!?」

 村のハンター達がバタバタと慌ただしく装備を整え、騒いでいるのが分かる。

「……えーと。様子を見る限りじゃあ、なんか幹部が攻めて来てるみたいだけど。俺達も行かなきゃな」

「あ、あわわわわ……」

 ふと俺の後ろで、レインが震えながら逃げようとしているのが分かった。

 俺は素早く逃げ出そうとしたレインの首根っこを摑む。


「は、離してください! きっとこれは天罰なんですよ! ゼウスが怒ってるんですよ!」

「そりゃあお前が良からぬ事をしたのが悪いんだろうが! これが世界が滅ぶ元凶になるかもしれないんだぞ!? それに、お前あの時泣いてただろうが! お前ら、いいからさっさと行くぞ!」

「い、いやあああああああ!!」

 首根っこを摑まれているレインが、バタバタと暴れる。

 しかし、レインだけではなく、他の奴らまでもが動こうとしない。一体どうしたのだろうか。


「……京夜さん、私もう帰って寝てもいいですか? なんかもう毎回毎回こんな事起こると嫌なんですけど。また魔王グループの幹部ですか? もう嫌です、帰ります」

「毎回毎回ったって、俺ら以外のハンター達だって厄介事に巻き込まれてんのは同じだろ! いいから、行くぞ。俺らも協力しないと」

「あいっ変わらず京夜はクソ真面目ねぇ。寝てればいいのよ、寝てれば」

「そうだぞ京夜。私も今日は休みたい気分だし、一回ぐらいダラけても平気だ」

「……」


 あー、何コレ。すっげえ腹立つわ。

 ……もういいや、コイツら置いていこう。


「……じゃあお前ら、俺先に行ってるから。気が向いたら来てくれ、じゃあな」

「……あれ、やけに聞き分けがいいじゃないですか。まあいいや、いってらっしゃいです~」

 皆に見送られ、俺は受付嬢さんに案内されながら、魔王グループの幹部が現れた場所へと走る。

 アイツらはもうダメだ。やる気ゼロだ。ダラけすぎて脳が汚染されている。

 確かに俺だって幹部なんかとは戦いたくはないが、これは一大事なのだ。結構現状はヤバイっぽいし、参加しないワケにはいかない。

 アイツらを見てると、自分が真面目だと実感できるんだよね。いや、客観的に見れば普通の行動なんだけどさ。

 

 俺は何故か嫌な予感を覚えつつも、急いで地を蹴り続けた。

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