幹部がやってきた
「そういやアルゼルト、シオン。お前らは、ちゃんとラガースとは話せたのか? ホラ、あの悪魔」
「ああ、なんかあの悪魔自己中だし放っておく事にしたわ。ギャーギャー五月蝿いのよ、アイツ」
「……お前の旦那さんじゃなかったのか? もう少し優しくしてやれよ……」
「お父さんは、私もあんまり好きじゃないです」
焼き終わった肉を頬張りながら、シオンが言った。
な、なんかいきなりラガースが不憫に思えてきた。こんなにも家族から悪者扱いされているだなんて……。
「いーのよ、アイツは放っておいて。それより京夜、分かったらもう一個肉をよこしなさい」
「……」
状況的に俺が肉をアルゼルトに渡すのは道理に合っていないと思うが、俺は取りあえずアルゼルトの好きにさせてやる事にした。
……まあ、いいか……。
俺はコーヒーを啜りながら、ボーっと窓の外を眺めた。
ああ、このポカポカした日差しが気持ちいい。もうずっとこのままでいたいなあ……。
「きょーや、午後はどうするの? また家でゴロゴロ?」
俺が閉じそうになる瞼を必死に開けていると、アークがそんな事を言ってきた。
ふむ、午後か。午後の予定は……特に考えてないなあ。
さっきは家でゴロゴロするとか言ったが、そろそろクエストに行った方がいいような気もする。身体もなまってくるしなあ。
「……よし、じゃあ午後は簡単なクエストにでも行こう。そんなに難しいものじゃなく、簡単にこなせる感じのをな。食後の運動には丁度いいだろ」
「まあ、たまには悪くないですかね。私も行ってあげましょう」
「お前は絶対に来い。運動しなさすぎだ」
ぐでーっとテーブルに突っ伏すレインの頭を軽く叩きながら、俺は言った。
コイツは最近全くと言っていいほど運動していない。太ったりしないのだろうか。
まあ、皆乗り気みたいだし、いいだろう。
俺が食い終わった皿を、キッチンへ運ぼうとした—――その時だった。
『緊急クエスト!! 緊急クエスト!! 村の付近に、魔王グループの幹部と思われるモンスターが集まっています! ハンターの皆さんは、直ちに装備を整えクエスト受付窓口へ向かってください!!』
……!?
活動報告の方でラストスパートと書きましたが、これは違いますので大丈夫です。
幹部と戦いつつ、だんだんボスが現れるみたいな感じです。




