悪魔さんこんにちは
「……いたな」
「……いましたね」
捜索開始から約十分。
早くも悪魔を発見した。
「……なあ、悪魔ってもっとこう、恐ろしいもんなんじゃないのか? いや確かに恐ろしい姿をしてるんだけど、その、角が……」
「ここら辺の悪魔の角は短いんですよ。だからあんなヘンテコになってます」
角が短くて、なんか恐ろしいんだか何だかよく分からない悪魔が俺達のすぐ傍にいる。
俺達は草に隠れて様子を伺っているのだが……今のところ、危害を加えてきそうな様子はない。
よし、ここは取りあえず話をして、あの悪魔と打ち解けてみるか。
そう思い俺が悪魔に近付こうとすると―――――アルゼルトがキュッと俺の裾を攫んできた。
「京夜、近づかない方がいいわ。私が言うのもなんだけど、あの人すぐ怒るから正直言ってめんどくさいのよ。京夜が近づいたら真っ先に襲ってくると思うわ」
「でも、俺の顔とかは知られてるワケじゃないんだろ? だったら別に行っても問題ないんじゃね?」
「いや、悪魔にはね、その人のデータを知れる能力があるの。私は悪魔は悪魔でもモンスターだから、データ分析能力なんてないけど、あの人は完全な悪魔だから。だから京夜が行ったら、一瞬でデータ分析されて殺されちゃうわ」
「悪魔と悪魔のモンスターの違いってなんですか」
「さあ? データ分析が使えるか使えないかって事じゃないかしら」
「じゃあさっきモンスターだからとか言い訳してたけど、結局データ分析が使えないだけだよな」
「…………」
俺がそう言った途端、アルゼルトは視線を泳がせた。
というか俺も一応悪魔だけど、そんな能力ないんだが。何、データ分析って?
何故こんな都合が悪くデータ分析とかいう能力が出てくるんだろう。めんどくさいよもう。
「やっぱ俺行ってくるわ。ちょっとな、俺を変態だと思わせないためにもちょっくらボコボコにしてくる」
「ちょ、ちょっと京夜お兄ちゃん本気ですか!? お父さんはあれでも一応は上位の悪魔なんですよ、実は!」
「え? そうなの? まあそんなのどうでもいいや。行ってくる」
俺は焦るシオンを無視して、草から飛び出した!
そして、振り返る悪魔に向けて、俺は魔法杖を構える。
「『サンダー・レイン』ッ!!」
弱点を突いた光属性攻撃が、悪魔へと炸裂した!




