厄介事
「……んで、なんで来た、お前ら」
渋々玄関の扉を開けた俺は、ティール達にそう言い放っていた。
すると、ガーブが爽やかな笑顔で口を開き。
「最近京夜達と会ってなかったからね。なんか随分と賑やかなパーティーになってるみたいだけど」
「ああ。問題児が増えて困ってるんだよ。フェミニストのお前ならコイツら全員に対応しきれるんじゃないのか?」
「俺はフェミニストじゃないし、この子達の面倒見係は京夜が似合ってるよ」
「そうかそうか。……んで、何しに来た」
「最近京夜がそこの女の子達と一緒にお風呂に入ってるのを見かけたから、警察の方達に言っといたよって報告しに行こうと思ってn」
「てめえかああああああああああああああああああああああああああっ!!」
俺は一も二もなく、ガーブに襲い掛かった!
……混浴情報がどうのこうのは、コイツの仕業か。ぶっ殺す。
「きょ、京夜さん。ガーブもワケがあって警察に言ったんですから、少し話を聞いてあげてくれませんか?」
「……チッ」
ガーブの隣にいたピューラになだめられ、俺は渋々ガーブを殴るのを止める。
ワケがあったって、どういうことだ? 何故混浴を警察に訴えた?
というか混浴ぐらいで、別に犯罪の域にも何にも達しないと思うけど。
そう思っていると、殴られたガーブがゆっくりと口を開き。
「実は、とあるモンスターに襲われてね。俺達が前に行ったクエストの道中で、謎の黒い悪魔が現れたんだ。それでその悪魔が、『佐々木・京夜という名の男ハンターが、俺の愛妻と愛娘と混浴してるらしくてな。貴様ら、佐々木・京夜の悪い噂を世間に広めてくれ。……さもなくば殺す』……と、鋭い爪をギラつかせてこちらを睨んできて……」
「あんまりだ! なんだその酷い命令!! 何なの!? モンスターにまで嫌われちゃう俺って一体何なの!? てか愛妻と愛娘って何!? 俺のパーティーに愛妻と愛娘なんか……」
そこまで言いかけて、アルゼルトとシオンがフイッと目を逸らしたのが分かった。
…………。
「……おい。詳しく聞かせてもらうぞ」
「「……はい」」
……何故、こう次から次へと厄介事が起こるのだろう。




