おやすみなさい
地獄の風呂から解放された後。
俺は疲れ切った体で、布団へと横たわった。
もう、ね。「もう嫌だああああああ!!」とか言ったら負けなんだよ、コレは。
一種のゲームだと思えばいい。我慢大会みたいだけど。
「……なあ、頼むからお前ら、自分の布団で寝てくれって……!」
ただしそれは一種の無理ゲーでもあるのだ。
夜な夜な六人全員が、俺の布団に入ってくる。だからもう狭いったらありゃしない。
何なの? 俺のこと好きなのか、そうか。そしたら全ての辻褄が合う。
あ、ハーレムだこれ。やったあ。
だがしかしホントに勘弁してほしい。ゆっくり寝たいんだよ、今は。
というかこの問題児達が俺に惚れていると知ったとこで別に何ともない。だって問題児だもん。
「京夜さんの布団にいるとあったかいんですよ……私達冷え性なので」
「うん、分かった。分かったけど顔近いよロリ娘」
顔を近づけてくるシオンを押し退けながら、俺はこのどうしようもない状況の打破方法を無謀にも考えようとしていた。
このまま水魔法でコイツらどうにかするか? いや、それだと布団も濡れちゃうし、何より乾かすのがめんどくさい。
だったらプチ・サンダーで撃退するか? でもそれだと毛布に静電気が充満しそうで嫌なんだよなあ……。
俺の使える魔法じゃどうにもならん。創造魔法で何とかするにも、この状況をどうにかできそうな物は創れそうにない。
「……おい、ツンデレ共。いい加減退いてくれ」
「むにゃむにゃ……」
「ホントに寝てる奴は『むにゃむにゃ』とか言ったりしない。アークは例外だけど」
「ゼットゼットゼット……」
「確かに漫画とかで『zzz』ってあるけど、それは断じてアルファベットを連呼してるんじゃないからな……ってホントに寝てんのかよ!?」
俺が試しにアルゼルトの背中をくすぐってみても、起きる気配はなかった。
どうやらコイツは起きていたワケではなかったらしい。あんなに背中に弱いアルゼルトが動じないなんて、起きてたら絶対あり得ないもん。
「「「「「「すー……」」」」」」
そして六人全員、仲良く寝息を立て、いつの間にやら眠っていた。
……俺はどうすればいいんですか?
ハーレムすぎてごめんなさい 気を付けます




