グラビティ練習実験台
「ではまず、ロリむす……シオン。貴様のグラビティの威力は、既に我も知っておる。何度も喰らっているからな。……だが、確かに威力が足りん。貴様のグラビティの威力は、100点中55点ぐらいだ」
レーディルの言葉に、シオンは俯きながらも頷いた。
……どうやってレーディルは、シオンのグラビティの威力を上げるつもりなのだろうか。
俺の疑問を察したのか、レーディルは、はっはっはと高く笑いながら。
「グラビティの威力は、本人の集中力と、魔力に依存する。貴様はモンスターなら、魔力は高いのであろう? ならば、後は練習あるのみだ。……今からシオンにグラビティを何発も撃ってもらう。我はその評価をしよう」
そう言ってレーディルは、俺の肩をポンと叩いてきた。
……?
「……京夜、貴様が実験台となれ」
「何でだ、やだよ。冗談じゃねえ。お前がやれ」
「我はシオンのグラビティを何発も喰らって疲れたのだ! 行け!」
「はあっ!?」
グイグイと背中を押してくるレーディルに、俺は必死で抵抗する。
ふ、ふざけんじゃねえ。なんで? なんで俺なの?
「おいお前やめろ! いいのか!? んなことやったら俺の最上級の水魔法が炸裂するぞ!?」
「そしたら結界で防げばいい話! シオン、やれ!」
「『ダークネス・グラビティ』!!」
「なああああああああああああああああああああああああああああ!?」
ドンとレーディルが俺の身体を突き飛ばし、そして俺はとんでもない重力に襲われた。
理不尽だ。理不尽すぎる。
重力に襲われる俺の身体を、レーディルは、ふーむと頷きながら見ている。
「シオン、今のグラビティは中々良かったぞ。70点だ」
「ホントですか!? やったあ!」
そして俺への身体の重力も解放された。
に、逃げなければ。このままでは俺が危ない。
俺は隙をついて踵を返し、玄関のドアに向かって一直線に走り出したが―――――
「『グラビティ・ゼロ!』」
「ゴフッ……」
玄関のドアノブに手を掛けようとしたところで、俺の顔面は地面に叩き付けられた。
先ほどよりも一層威力が増している。ヤバい、ゲロ吐きそう。
「いいぞシオン! その調子だ! もっと、もっと京夜を押し潰すような感じで!」
「分かりました!」
シオンの元気な声に比例するかのように、グラビティの威力も上昇した。
……アイツら、後で覚えてろよ。




