未成年飲酒
レーディルの依代探しも無事終了。
家へと帰って来た俺たちだったが――――――
「……なあ、何やってんの?」
「宴会をやるそうですよ。お酒大量に買って来てました」
そこには――――シオン以外の全員が、酒を飲んで酔っていた。
20歳なのは、アルゼルトのみ。それ以外の奴らは、全員未成年だったと思うんだが。
……もしかして欲しい物とは、酒の事を言っていたのだろうか。
「……シオン、なんで止めなかった?」
「止めようがなかったんです。皆家に帰って来たらもう既に酔っていて。どうやら、家に帰る途中の道で飲んでいたみたいですよ?」
「…………」
バカなのか? 本当にコイツらは、バカなのか?
最近ちょっとモテ期が来たと思ったら、これですわ。
モテ・2 バカ・8 ぐらいの割合で、バカが多い。
というか、男子一人女子六人とかいうハーレムチームなのに、色気の欠片もないんだが。
とにかくもうめんどくさい予感しかしない。無視しよう。
「あ~きょーやおっかえり~! 見て見て、私ね、ふわふわ浮いて綿あめみたいになってるのってああああああああああああ!!」
酔ったせいでバカな事を口走るアークに水魔法を加えながら、俺は目頭を押さえてソファーに座った。
……これから先が非常に心配だ。いつか未成年飲酒がバレて、警察に捕まってもおかしくない。
この世界には、何故かご丁寧に警察というものが存在する。
異世界に来て、なぜ警察に逮捕されなくてはならないのか。
なんとしてでも、バレない様にしなくては。
「……っていうかお前ら、どうやって酒買って来たんだよ。外見で未成年ってバレちゃうんじゃないのか?」
「そんなの、アルゼルトさんにまとめ買いさせれば済む話じゃないですか~。ホラ、二人も一緒に宴会しましょうよ~!」
「おっ! いいですね~」
「バカ野郎。行くな」
宴会に参加しようとするレインを止めながら、俺はシオンに。
「おいシオン! レーディルがグラビティ、教えてくれるってよ。教えてもらってきたらどうだ?」
「フハハハ! このロリ娘……でもないですね、ごめんなさい」
シオンが攻撃体勢になっているのを見て、レーディルは慌ててロリ娘の言葉を修正した。
まあ途中で気付いただけ上出来だろう。前までのレーディルはこのまま構わず最後まで言っちゃってたからな。
「でもこの人、なんかセクハラしてきそうで怖いです。京夜お兄ちゃんもついて来てください」
「……。まあ、コイツならやりかねないしな。分かった、一緒に行くよ」
「待て待て、貴様らは一体、我をどんな人間だと思っている」
「「ニマニマフードの変態」」
「……そうか!」
レーディルは相変わらずのニマニマした表情で、シオンを外へ連れて行った。




