不死身
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!! 無理、無理だからあんなの!? レーディル、お前何とかしろ!」
「くっ……! 『ダーク・ドラゴニック』! 『ライト・バースト』!」
レーディルの張った結界によって、ギリギリのところで俺たちの体は守られる。
「おいゾンビ達! 俺だ、覚えてるだろ!? お前たちを成仏させるのに協力してやった!」
『ミ……ンナ……コロ……スッ!!』
「こえええええええええよ!? って、ああああああああ!!」
聞こえてはいけない言葉が聞こえたかと思うと、俺たちの体を守っていた結界はあっさりと砕かれた。
怖い。それでいてこれ、本当に危ないヤツだということが俺にも分かった。
「うわあああああ!! 『リーフ・バインド』! ……って効かないの!?」
レインが木力魔法でツタを生成するも、それはあっさりとちぎられる。
どうやらこのゾンビ達は力も相当なものらしい。あかん、このままじゃ殺られる。
『コロスッ……! コロスッ……!』
「だから怖えって!? おいレーディル、なんかアイツらコロスとか言ってくるんだけど! 筋力もヤバいっぽいんですけど!」
「なっ……!? 貴様は、ゾンビ達の声が聞こえるのか!?」
「ああそうだよ! ……ってあああああああああああああ来てるううううううううう!!」
「ふむ……」
俺の言葉に、逃げながらもレーディルは頷いた。
「……あれは、恐らく凶暴化だな。コロスなどの暴言をあのゾンビ達が言うとは思えんし、何せあのヒョロヒョロだったゾンビ達が、急にムキムキになっているのもおかしな話であろう」
「凶暴化!? それって暴言まで吐くようになっちゃうの!?」
「うむ、あれは突然変異個体であろう。魂が天界に送られた時、何らかの理由で変異個体になったとしか考えられん。まあ、理由は分からんが」
「あああああああああああ!? もうコレどうすんの!? ……『カールド・フィース』ッ!!」
俺は渾身の創造魔法で、短剣100本を創造した。
それを俺は素早くゾンビ達に投げつける。そしてそれは見事命中した。
「『アース・レイン』!!」
「『ソード・オブ・ダーク』!!」
そしてそれを援護するかのように、レインとレーディルが必死になって魔法を唱えている。
―――が、しかし。
俺は一つ、おかしい事に気が付いた。
「……なあ。なんかアイツら、死んでも死んでも蘇ってくんだけど?」
「……ああ。そういえばそうであったな」
俺の絶望の言葉に、レーディルが思い出したように。
「……ゾンビは確か、蘇生モンスターの一つでもあったな。アイツらは見ての通り、死んでも死んでも蘇ってくる。……参ったな、このままでは……」
レーディルがそこまで言いかけた時、数十匹のゾンビが、俺たちに襲い掛かって来た―――――――!!




