いきなりゾンビ
「……まあ、そんなワケでだな。京夜、レイン。一緒に来てはくれまいか? 何、そこのロリ娘にはしっかりグラビティを教えてやるから」
「……ロリ娘はやめてください」
相変わらずのロリ娘呼ばわりに、シオンが頬を膨らませて、レーディルにグラビティを加えた。
レーディルはそれで再び頭を強打し、地面に崩れ落ちる。
「まあ、何となく話は分かったよ。……んで、天界にはどうやって行くんだ?」
「我が天界への魔法陣を召喚する。レイン、貴様は足手まといにならないようにな?」
「……私だって、魔法覚えたんですけど。木力魔法覚えたんですけど。ていうか私、魔法神なんですけど。魔法を創ったとされる、魔法神様なんですけど。随分とおざなりな扱いですね」
「『ライト・レインド』」
レインの言葉を無視し、レーディルは部屋の中に魔法陣を召喚した。
「シオン、ちょっと皆に伝えておいてくれよ。あと、留守番よろしく」
「……分かりました。待ってますね」
シオンは俺の言葉に、素直に頷いた。
俺は、1億ゼニーが手に入ることもあって、ちょっと心が広くなったのである。
友人が困っている時は、助けてあげないとね。
俺は2人の後に続き魔法陣の中に入ると、転送準備を待つ。
「それでは、出発!!」
レーディルの声と同時に、俺たちの体は光に包まれた――――――!
■
「……え? いや、何コレ」
俺たちが天界に入ると、そこは既に暗闇の地へと化していた。
あれだけ純白だった風景が、今や闇一筋である。
……。
「……なあ、帰ろうぜ。もう早くも嫌な予感しかしない」
「ま、待ってくれ。我の依代を探さないと―――――」
―――――そこまでレーディルが言いかけた時だった。
前から、ドドドという奇妙な擬音が聞こえてきて――――――
『ギャピイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!』
「「「なああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」」」
数百匹のゾンビ達が、俺たちに襲い掛かって来た。




