アーク先生と魔法教室
この世界に転生してから、数日が経った時のこと。
俺はティールと飯屋でダラダラ話をしていた。
俺とティールは飯屋で会うことが多く、大抵いつもこうやって話をする。
「お、あの子可愛くね? あのカウンターの所に立ってる子」
「アホかお前! 声でけーよ!」
ティールは割と声がデカいので、いつ聞こえてしまってもおかしくない。
俺はコーヒーを飲みだしたところで、ティールに忠告していた。
……まあ確かに可愛いんだけどさ。
「なあティール。お前最近どんな感じのクエスト行ってる?」
「ん? そーだな、やっぱり小型のモンスターとかをちょくちょく狩りまくってるな。報酬もそこそこいいし」
そう言ってティールはオレンジの炭酸入りジュースみたいなのを一気に飲みほした。やはりティールも未成年なので、酒は飲めないらしい。
最近は魔物モンスターの被害もおとなしいって聞くしなあ。特にやることがない。
「……なあ京夜。俺、前から気になってたんだけど。お前のその杖ってなんのためにあるの? 見た感じ剣士だから使う機会ないと思うんだけど……」
そう言ってティールは俺が持っていた魔法の杖を指さした。
……完全にコレの存在忘れてたわ。何かしら覚えようとは思っていたが、ついつい後回しにしてしまっていた。
そろそろ覚え始めてもいいかもしれない。
「いや、ちょっとなんかしらの魔法を覚えようと思ってな。……お前って魔法に詳しい?」
「あいにく魔法の知識は持ち合わせていねえよ。お前に教えた回復技ぐらいなら分かるが。……いやだってさ、俺のこの体格で魔法使いだったらどう考えてもおかしいだろ?」
うん、それは俺も思う。
最初ティールに回復技教えてもらった時も「なんでこの人魔法使えるの? キモ」みたいな感情を抱いたのを覚えている。まあ回復技は誰でも覚えられるという事を知ったから良かったが。
「体格のことは置いておいて、俺、思うんだけど。魔法ってさ、結構便利なものだと思うんだ。比較的使用頻度高そうだし、何より楽にモンスターを倒せると思う」
「お前って『楽』って言葉に弱いよな……まあ分からんでもないが、魔法使うと体力を持ってかれるぞ? それでもいいならお前の自由だが」
「ふっ……体力になら自信があるぜ」
そう、俺は最近散々走り回ったりしているせいで、大分体力が付いた。ちょっとやそっとの魔法じゃ疲れないと思う。
ちなみに杖に付いてきたガイドブック。あれは、大して役に立たなかった。どーでもいいような魔法ばっか書いてるし、最後のページに「一番いいのは他人から習うことです!」なんて書いてあるのだ。ガイドブックの意味ねえじゃん。
てなわけで、俺は魔法を使える人を探していたのだが……
「そうか? でも、俺は魔法詳しくねえしなあ……あ、そうだ。お前のチームのとこに可愛い魔法使いがいるじゃねえか。えーと……アークちゃんだっけ」
ティールは、俺が一番嫌だと思っていた提案を出してきた。
( *´艸`)( *´艸`)( *´艸`)( *´艸`)(感想・評価マッテマス!)




