幸せの答え
剣だの魔法だの弓だので、ボッコボコにされた俺たちは。
ボロボロの身体を引きずりながら、キュウビと一緒に色んな所を歩き回っていた。
『あ……あの、すみません……。私のせいで……』
「いや、いいんです。俺たちの事は気にしないでください。……じゃないと、折角のお祭りも楽しめませんよ?』
俺が何とか笑顔を作りそう言うと、ガルドとアース、レイトの3人もコクコクと頷いてくれた。
……俺たちは命の危機を感じ、何とかして妥協案を考えたのである。
それは、キュウビと一緒に色んな所を行く代わりに、もし危害を加えたりしたら、キュウビを討伐してもいい、という提案だ。
最初これを聞いた皆は苦い顔をしていたが、このままでは埒が明かないと分かったのか、俺たちの好きにさせてくれるようになった。
……なんかもう色んなものを失った気がするけど、まあいいや。
俺の考えてることを察したのか、3人がポンポンと俺の肩を叩いてくれる。
多分これこそが、親友というものなのだろう。
『うわあ……!』
先ほどからキュウビは、周りの屋台や人などを見て目を輝かせている。
……うん、別にいいんだ。この娘の笑顔を見られただけで、俺たちは幸せなんだ。
「お前ら。たこ焼き……じゃねえな、アレは。まあとにかく、アレ食うか?」
「お、おう」
俺が見つけたたこ焼きもどき店を見て、レイトが小さく返事する。
その店は―――――たこ焼きの、四角いヤツみたいなのを売ってる店だった。
形は変だが不味くはないハズだ。……多分。
俺はたこ焼きもどき店に行き四角いたこ焼きを買ってくると、皆に差し出す。
しかし3人はそれを受け取らず、代わりにそれをキュウビに手渡してくれた。
……まあ、それもそのハズ。
「……京夜、なんか上がって来ちゃいけないものが這い上がって来てるんだけど」
「堪えろ。そう、絶対にだ」
先ほど、魔法によって木のツタなどで腹を締め上げられたりもしたので、もう何も食えない。
食ったら気持ち悪くなる。いや、正確には吐く。
『わ、私が食べるんですか……?』
「はい。俺たちもう腹いっぱいなんで」
ゲロ吐くから食えませんなんて言えるワケがない。
キュウビは俺たちの言葉に納得してくれたのか、フーフーと冷ましてから、四角いたこ焼きを口に運んでくれた。
美味しかったのか、キュウビは幸せそうな表情を浮かべてくれる。
……良かった良かった。
「……でもさ、俺思ったんだけど。キュウビって、噂では幸運を呼ぶらしいんだよな? なんで、早速悪い事が起きたんだ?」
ガルドがこそこそと、俺たちに耳打ちしてくる。
悪い事とは、多分皆にボッコボコにされた事を言ってるんだろう。
……今なんとなく、俺はその噂が何を言いたいのかが分かった気がした。
俺は、ゆっくりと口を開き。
「ひょっとして、キュウビに会えたってことが、幸せそのものなんじゃないのか?」
「「「……なるほど」」」
俺の言葉に、3人全員が頷いた。




