春祭り!
宿へと戻った俺たちは。
ゴロゴロしながらテレビを見て、ダラダラしていた。
まあ別にいいんじゃね? といった感じである。ゴキブリやら紫龍やら魔王グループと戦った後だし、皆だって疲れてるハズだ。
「いやあ、大金手に入ったら、毎日ダラダラして過ごそうぜ。ダリイもん」
「お、お前……。絶対ダメ人間へと化すぞ……」
コハクが心配そうな目で俺を見てくる。
別にいーじゃねえか、金あるんだし。といった感じである。
まあ家事とかはこなす必要があるが、買い出しなんかに行く時以外は引き籠ってても――――――。
俺がそんな事を考えていると、突如部屋のドアが開かれた。
「京夜さん、こんにちは!」
「おお、コトネじゃん。どした?」
部屋の中に入って来たのは―――――俺たちをこの村に案内してくれた少女、コトネ。
なんだか嬉しそうだが、どうしたんだろうか。
「実はですね。皆さんは知らないと思いますが、この村には春祭りという行事がありまして。それを今夜に開催するので、皆さんもどうかなと……」
「春祭りって何ですか?」
「えっとですね。その名の通り、春のお祭りです。とっても賑やかなんですよ~」
何それ。日本と似たような行事だな。
……ふむ、祭りか。
なんか随分と唐突に告げられたが……どうしようか。
「どうする? 行く?」
「うーん……。まあ折角アールドハンクに来たんですから、いいんじゃないですか? ホラ、大して観光できてないですし」
「まあ言われてみればそうだな。……コトネ、それって何時から?」
「えっと、今夜の7時からですね」
なるほどなるほど。
思えばこの村に来てからロクな事に遭っていなかった。ゴキブリだの紫龍だの魔王グループの幹部だの。
殆ど観光できてなかったしな。行ってもいいだろう。
「ただ、魔物モンスターが襲ってくる確率も0ではないもので……。もし魔物モンスターが出現したら、皆さんも討伐に協力してくれないでしょうか?」
「いや、いくらなんでもそんな事あるのか? 春祭りやってる最中に魔物モンスターとか」
「可能性は0ではないです。皆さんも、お願いできますか? まあ出現確率は、極めて低いですが……」
コトネの言葉に、皆はコクリと頷いた。
……またフラグになったりしないだろうな、この会話。




