変化!
―――――準備は整った。
俺は達成感に身をゆだねながら、完成した「罠」を見る。
……これを作るのに、少々時間が掛かったがな。
まず俺は、創造魔法で「透明マ✕ト」「スコップ」の二つを創造した。
なぜこんな物を創造したかというと―――――そう、落とし穴を作るためである。
俺はまず、手だけを悪魔化させ、筋力をアップさせた。そうすることによって、スコップで地面を掘る時間も短縮される。
そして俺は掘った穴に、水魔法を使って水を満タンに入れた。
どんなに体のデカい敵でも、落とし穴(しかも水満タン)は回避することができないだろう。
そして仕上げに水の上に木の葉を敷き、準備完了。落とし穴の上に透明マ✕トをかぶせても、変に見えるだけだしな。
ちなみに落とし穴は、結構深く掘ってあるため、セルレイドでも余裕で落とすことができるだろう。
俺はぐふふとゲスな笑みをこぼしながら、セルレイドを探しに行った――――――
■
「貴ッ様ァァァァァ!! 途中で逃げやがってえええええええ!!」
「ひいいいいいいっ!!」
俺は鬼の形相で追いかけてくるセルレイドを相手に、必死になって逃げ回っていた。
ヤ、ヤバい。このままじゃ落とし穴のある場所に誘導する前に殺られちまう。
しかも悪魔化は解除しているので、このまま追いつかれたら終わりだ。死ぬ。
俺がどうしようどうしようとパニック状態になっていると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「京夜さーん! 村の魔法使いさん達も協力したいって言うんで、連れてきましたよー!!」
「おお! ナイスだお前ら!」
声のした方向を見ると、何十人もの魔法使いを連れた皆がいた。
悪魔化解いておいて良かった。
「お、お前ら! 助けてくれええええええ!! このままじゃ俺死んじまう!!」
「京夜、大丈夫か!? 『ブルー・トルネード』!!」
ガルドの声が聞こえたかと思うと、セルレイドに向かって水の渦が炸裂した。
「効かぬわそんなの! 俺の邪魔をするな!」
「皆ー!! 魔法連発だ――――――!!」
『オオオオオオオオオオッ!!』
魔法使い達の大声が聞こえたかと思うと、数々の魔法がセルレイドに向かって炸裂した。
「『インフィニティ・ドラゴニック』!!」
「『サンダー・オブ・ガイア』!!」
「『シャイニング・ロスト』!!」
その魔法を躱したり剣ではじいたりするものの、流石に鬱陶しくなったのか、セルレイドはキレ気味に叫ぶ。
「あああああああああああもう!! 邪魔臭いわ貴様ら! 『ファイアー・ボルシャック』!!」
そのセルレイドの魔法によって、多くの魔法使い達が炎に包まれた。
「み、皆! 大丈夫か!?」
俺が何とかセルレイドの猛攻から抜け出し、魔法使いの皆に駆け寄るも、意識はなかった。
「く、くっそ……!」
しかしなおも、セルレイドの攻撃は続く。
俺のせいで、魔法使い達が命を失った?
―――――ふざけんじゃねえ。
「おいお前ら! 魔法で支援してくれ! 基本的な戦闘は、俺がやる!」
「わ、分かりました! 『アース・レイド』!」
「『ウォーターデッド・ファイナルフリーズ』!!」
油断していたのか、セルレイドはその攻撃を躱しきれずに、その場にべしゃりとすっ転んだ。
当然、何十メートルもの巨体が転べば、辺りの木々も吹き飛ぶ。
「お前、マジで許さねえからな。死んだ魔法使いの命の分、俺がお前殺す」
「ひっ……! くっそ、変化!」
突如セルレイドの姿が、セイレーンへと変貌した――――――!!




