作戦準備
「だからその不意打ちはやめろ! 貴様がいくら俺に襲い掛かったところで俺には通用せんわ!」
俺のスパエメちゃんソードの一撃をセルレイドは躱すと、俺に向かって怒鳴り散らした。
チッ、当たると思ったのにな。
「貴様……くせ毛の分際で俺に歯向かうとは……」
「俺髪型については無頓着なんで。『ウォーター・ブリザード』!!」
俺が水魔法を撃つも、またもや躱される。
く、くそ。そろそろ息が切れてきた。
「そんな弱っちい水魔法、俺には効かん! 『インフェルノ』!!」
セルレイドは魔法を使い炎で俺を攻撃すると、パンパンと手を掃った。
くっ、コイツデカい上に魔法も使えるから攻撃が躱しきれねえ。
何か作戦を考えるか。このまま一対一で戦っても負けるだろうしなあ……。
……よし。
「アディオスッ!!」
「なっ……貴様ァ! 待ちやがれ!」
俺はくるりとセルレイドに背を向け、逆方向に走り出した。
とにかくこの場所じゃあ狭いし戦いにくい。どこか広い場所に移動しなければ。
「くっ……貴様……」
どうやらセルレイドは木が防具につっかえて、上手く動けない様である。
それはこちら側としても好都合。
俺は力を振り絞ると、遠い場所に逃げ出した!
■
「ふう……一応は引き離せたな……」
俺は木陰に身体を寄り掛からせ、ハアハアと息を荒げた。
勢いで逃げ出したものの、これからどうすればいいのだろうか。
そろそろ皆も戻ってくるころだろうし、悪魔化の状態で戦うワケにもいかない。
どうしたものか……。
「……やっぱ、普通に戦っても勝てないよな」
そりゃあそうである。
あんな奴が魔王の幹部だなんてなあ。
というか、また変化術でも使われたら厄介だ。またセイレーンの姿になられても、全力で戦えないし。
かといって、あのバカでかい姿の奴と戦ってもまず勝てない。
……ぬううううううううう、あああああああああ!!
無理ゲーじゃねえか! どうやってあんな奴に勝てと!?
……いや待て、落ち着け俺。
こんな時、ゲームだったらどうしていたかを考えろ。ネットの友人からも言われてたじゃないか、「お前はゲームが上手い天才ニートだ」って!
そうだ、俺は知能が高い。こういう時こそ自分のステータスを生かすべきだ。
……俺が悩んでいると、ふと、一つの作戦が思いついた。
……悩んでいる時間は無い。
やっぱりこの作戦を実行に移すには、やはりアレが必須なようである。
俺はゆっくりと魔法を唱えながら、しっかりと「形」を想像した。
「『カールド・フィース』」
俺が創造魔法で生み出したものは―――――そう、透明マ✕ト。
このアイテムにはいつもお世話になっていたので、しっかりと形なんかも覚えている。
多少体力が持っていかれたが、まあそれは仕方がないとしよう。
俺は透明マ✕トを体に被せると、足音を立てないように、ゆっくりと作戦実行可能な場所へと移った―――――




