騎士セルレイド
「あだだだだっ!? ちょ、お前!」
騎士が剣で斬りつけようとしてくるが、俺はそれをいなし、自分でもビックリするくらいカッコよく着地した。
……コイツだけは絶対に許せない。
「おいお前ら! お前らは先に戻って、村の人達に注意を呼びかけといてくれ! あと、受付嬢さんにも報告を!」
「えっ!? でも、京夜さん一人で……」
「いいから行け!」
俺は攻撃を躱しながら、ライアに大声で叫ぶ。
この騎士は危険だ。デカいし、何をしてくるか分からない。
「分かりました! 気を付けてくださいね!」
「了解!」
皆が村に戻っていくのを確認すると、俺は一旦騎士から距離を取り、ふう、と息を吐いた。
普通にコイツと戦っては、まず勝てない。デカすぎるし、いつか躱してる内に踏み潰される。
ならば――――――悪魔化しかないだろう。
「うおらああああああああああああ!! てめえ、ぶっ殺す!」
「……!? ぐっ……」
俺は悪魔化を成功させると、騎士の顔面まで飛行し、ドロップキックを喰らわせてやった。
いや、魔王グループの幹部となれば、本気で戦わなくてはならないしね。
「くっ……。貴様は一体何なんだ……!」
「さあ、何なんだろうね俺って!」
俺は爪で騎士の防具に傷を付けながらそう答えた。
何なんだろう俺って。分かんねえわ。
すると顔面を蹴られた騎士は、クソデカい剣を鞘から引き抜きながら。
「いいだろう、俺の名前を教えてやる。俺の名は――――セルレイド。魔王グループの幹部の中でも5指に入る強さの騎士だ!」
「ふーん。じゃあお前倒せば、さぞかし大金が手に入るだろうなあ! よし、殺す!」
「お、お前! ちょっと待て!」
俺の不意打ちのスパエメちゃんソード攻撃をセルレイドはギリギリで躱すと、俺に向かって思いっきり蹴りをかましてきた。
俺はそれをギリギリで回避。やはり足もデカいので、回避する場合は上か下しかないのだ。
横に回避してもまず間に合わない。面積が広いからなあ。
「ふん、俺をただの騎士だと思うな。『スパイラル・バーン』!」
「なっ……!?」
俺は突如空中から現れた炎を、上に飛んで回避。
しかし、なおもセルレイドの攻撃は続く。
「我が大剣、今その力を解き放て! 『ゴッド・レギオス』!!」
「……がっ……!?」
セルレイドの持っていた大剣が光ったと思うと、それをセルレイドは俺に向かって思いっきり振り下ろしてきた。
回避したということは、一瞬だけ隙が出る。
俺は回避しきれずにその攻撃を喰らうと、ゴロゴロと地面を転がった。
……と、いうか。
「なあ、俺いつか聞きたいと思ってたことがあるんだけど。必殺技名を叫ぶのはまだいいとして、その前の決めゼリフみたいなのは何なんだ? 言う必要あるのか?」
「あるわけがないだろう。貴様は決めゼリフを叫んだ事が無いのか? ……まあ一言で言ってしまえば、カッコつけの一種だな」
「……舐めてんの?」
俺は痛む身体を動かしながら、再びセルレイドへと襲い掛かった―――――!!




