音楽精霊
なんか勾玉のことについて全くあげてないなーって思ったので、ここで載せてみることにしました。すんません。
「なあ、俺は正直言って行きたくない。帰ろうか」
「ダメです」
「嫌あああああああああああああああ!!」
奇声を上げるもむなしく、俺はライアに引きずられていった。
嫌だ。面倒くさい予感しかしない。
「それでその人間っていうのは、どんな外見でしたか? まさか大男ですか?」
「いや、小さいんだよ。薄暗くてよくは見えなかったけど、女の子みたいな。それよりホントに行くの?」
「行きますよ」
「嫌あああああああああああ!!!」
最近こんなんばっか。
■
敵察知があった方にたどり着くと、そこには幼げな少女が立っていた。
外見からして年齢は、シオンより少し年上だろうか? 14ぐらい?
そんな少女は、何故か俺の方を見て。
「貴方……なんか不思議な力……」
「へ?」
そう言いながら少女は、俺の方に近づいてきた。
怖い! 助けて! だから行きたくなかったんだ!
少女は俺の方に近づくと、ゴソゴソと俺のポケットを探り。
「……あった。これ、なんか不思議な力」
「……ん? ああ、これか」
少女が俺のポケットから取り出したのは、いつの日かセギアに貰った勾玉だった。
あの日以来ずっとポケットに入れたまんまだったわ。なんか特別な能力がある勾玉だとかセギアは言ってたけど。
「貴方、これ、どこで手に入れたの……? これ、天使の勾玉だよね……?」
「へ? そうなの? これは友人に貰ったんだよ(ニッコリ)」
俺は少女を警戒させないよう、笑顔で接する事にした。
笑顔で世界は変わる。世界中の人達の笑顔で、世界は変わる!
そう幼少期から思っていた俺だったが。
「うわあ……。なんですかあのゲスっぽい笑み……」
「あの子怖がっちゃってるじゃないの……」
ライアとアルゼルトの引いたような声で、俺はハッと我に返った。
見ると、そこはビクビクと震える少女の姿。
やっぱり、笑顔じゃ変わらないものもあるらしい。なんだか悲しいね。
「で、君は何処から来たの? こんな森にずっといたの?」
俺はとびきりのスマイルはやめて、うっすら笑顔で問う。
こんな少女が、なんだってこんな薄暗い森にいるんだろうか。
すると少女は、ちょっとだけ微笑みながら。
「私は、セイレーン。魔王グループの幹部でもあり、音楽の精霊でもあります」
……!?




