創造魔法は固体のみ
すみません、設定でおかしい部分があったので修正しました
「ふあ……ああ皆、おはよう」
俺が起きると、既に皆が眠そうな目で布団に横たわっていた。
時刻は午前7時半。ニート時代では、11時ぐらいまで寝てたっけなあ。
異世界に来てから、生活習慣も健康になったのかもしれない。
「あ~もうなんか眠いんだけど。俺もう帰ってゴロゴロしたいんだけど」
「何言ってるんですか。私たちには今日、重大な任務があるんですよ。村の見回りをして、魔物モンスターを見つけたら交戦するという、立派な義務が」
レインがやけに張り切りながら言ってくる……が、その身体は布団にへばり付いたままだった。
どうやら、皆布団から脱出したいらしい。
「京夜さん。なんか私たち、身体が動かないんですけど」
「さあな。金縛りじゃねえの?」
「……まあ、このくらいなんともないですけど。『ドラゴニック・ファイアー』」
「えっ」
ライアは布団の中に隠し持っていた剣で、それをブンブンと振り回し透明化されていたロープを切った。
そんな中、コハクが。
「……犯人はコイツだ」
「事情を説明してもらいましょうか」
いやっ! もう俺嫌あああああああああああああああっ!!
■
「ねえ俺ホントに眠いんだけど。誰かこれどうにかしてくれよ」
何とか皆に口の利いてもらえるようになった俺は、そう愚痴をこぼしていた。
「あ、じゃあ回復魔法で眠気覚ましたら?」
「嫌だよ。このクソ眠いのに余計な体力使いたくねえ」
「もー、仕方ないな。『ウォーター・レイン』!」
アークの放った水魔法によって、俺はびちゃびちゃになった。
寒い。とっても寒い。
今は森の中に俺たちはいて日当たりも悪い。とても寒い。
「……なあ、どうしてくれんの?」
「眠いって言ってるから目覚まさせてあげただけだよ?」
ふ、ふざけてやがる。
ああ、確かに目は覚めた。覚めたけど、とっても寒い。
「あああああ……誰か助けてくれ……。おいライア、炎で俺を温めてくれ。死んじまう」
「いいですけど、私のは魔法じゃないので京夜さんごと剣で切り刻んじゃいますよ?」
「なああああああああああああああっ!!」
突如吹いてきた北風に、俺は悲鳴を上げながら震え上がった。
ひいいっ、寒いよ。助けてくれええええええ!!
……あ、そうだ。
「『カールド・フィース』!」
最近特にお世話になっている創造魔法を使い、俺は炎を創造しようとした—―――――
―――――が。
「あ、あれっ!? なんで出てこないの!?」
「……そりゃあそうですよ」
俺のやりたい事を察したのか、レインが前に出て説明してくれる。
「創造魔法は、『物』しか創造できません。なので、固体じゃないと創造できないってことです。……それに創造魔法を使っても全部が創造できるワケじゃないですし。本人の想像力と技術に成功率は依存します。……そりゃあそうですよね、創造魔法一つで何もかも創造できたら他の魔法覚える必要ないですもん」
「ひゃあああああああああ!!」
再び吹いてきた北風に、俺は震え上がる。
……なんで時計と短剣とロープの創造は成功したのに、炎は成功しないんだろうか。




