一件落着
「グギャアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「あ、あれ? お、おいちょっと待て!」
龍は地面をゴロゴロと転がり回ると、ゆっくりと起き上がり、どこかに飛んでいってしまった。
……まあ、何はともあれ。
取りあえず、村の安全は守られたという事でいいだろう。
「おーい! お前らも終わったかー!?」
「ああ、何とか……。うう、またべちょべちょじゃないか……」
「ひ、酷い目に遭いましたよもう……」
スライムでべちょべちょにされたコハクとシオンが、俺の方におぼつかない足取りで歩いてきた。
「きょ、京夜。浄化魔法を使ってくれないか」
「無理だ。今の俺に体力は残ってないし、もうこれ以上魔法を使ったら多分ぶっ倒れる。宿に着くまで我慢しろ」
「そんなあ……」
涙声で喚くコハクをなだめながら、俺は龍が飛んでいった方角を見た。
……またあのドラゴン、どっかで暴れなきゃいいんだけど。
俺がそんな事を考えていると―――――後ろにいた魔法使い達が、歓声を上げた。
「アンタ達、すげえよっ!! 流石は上級者のハンターだな!」
「ええ! 皆さん、とてもカッコよかったです!」
褒めて来てくれる魔法使いの方たちに苦笑いを浮かべながら、俺たちは森を降りていった。
まあ、一応龍は撃退できたんだしな。ゴキブリバスター達も全匹討伐できたみたいだし、もう大丈夫だろう。
俺が怠い身体を動かしながら歩いていると、シオンが。
「コハクさん、凄かったんですよ! 私がグラビティでモーイド・バスター達を動けなくしたんですけど、そこからの弓の連射が凄くカッコよくて!」
「い、いや……。あのくらいのこと、できて当然なんだが……」
小さな声で呟くコハクを微笑ましく感じながら、俺は皆に言った。
「まあ、今日は頑張ったし、皆で飲みにでも行こうぜ!」
「「「「「「おーっ!!!」」」」」」
これにて、一件落着。




