創造魔法の使い方
何故かは知らんが俺が攻撃を仕掛けようとした瞬間、すぐにバインド効果は切れてしまった。
龍はゆっくりと動き出し、ギロリと俺の方を睨む。
「な、なあ! なんかコイツ、バインド切れるの早くないか!? いくらなんでもこれは……」
「た、確か闇の龍はバインド効果に強い耐性を持っていると聞きます! 数秒程で効果は切れてしまいますよ!」
「はあっ!? チートだろ!?」
俺がそう言った途端、龍は再び襲い掛かってくる。
だが俺はギリギリで回避。攻撃だけは避ける男。
「くっそ……速いッ……!」
段々と攻撃速度が増していき、避けるのが辛くなって来た。
あかん。殺られる。
そんな中、後ろからアークの声が聞こえてきた。
「きょーやー! このゴキブリ達私たちだけじゃ辛いんだけど! 『ウォーター・フリーズ』!!」
「うわああああ来るなあ! 『ダークネス・レイン』!!」
……どうやらアイツらも必死になって戦っているようだ。
だが俺にあのゴキブリバスターを倒すのを手伝いに行く時間などない。というかまず攻撃速度が速すぎて逃げられない。
「うおらああああああああああああああああっ!!」
俺はスパエメちゃんソードをバットの様に持つと、龍の顔面をぶっ叩いた。
や、やっと当たった。
しかし今の攻撃は大したダメージにはなってなかったらしく、すぐに龍は体勢を整えて襲い掛かって来た。
何とかそれをスパエメちゃんソードの腹で受け止めるも、そろそろ本当にヤバいかもしれん。
なんかいい案はないだろうか。このままじゃ命が危険である。
……あ。
「『カールド・フィース』!」
俺は創造魔法で、地面からトゲを生成した。
どーせこのまま地上で戦っても体力が尽きるだけだ。だったら、動けなくしてしまえばいい。
「グオオオオオオオオオオオオオッ!!」
予想通り龍は雄叫びを上げ、ゴロゴロと地面に転がった。
創造魔法は、どこからでも想像できる。そんな大規模な物は創造できないので、俺は「数」で勝負してみることにした。
小さなトゲでも、数が集まれば痛くなるものだ。
だが、そろそろ本当に体力の限界である。龍を倒したらいち早くどこかで休憩しよう。
「グルルギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
龍は苦しそうにしながらも、翼で大空へと飛び立った。
だが、ここまでは俺も予想していた。地上がダメなら飛べばいいもんね。
でも――――――創造魔法は、どこからでも生成できちゃうんですよ。
「ひゃっはああ! 『カールド・フィース』ッ!!」
俺は空中から、数百本ものトゲを生成した。
別に地上から生成しなきゃいけないというルールは決まってない。ならば空中からだ。
予想通り龍はトゲを躱しきれず、再び攻撃を喰らって落ちてきた。
そして、近くにいた魔法使いが一言。
「き、鬼畜だ……。まさか創造魔法をあんなやり方に使うとは……」
なんとでも言いやがれ。




