落としちゃえ!
「……はあ、しゃあねえ。やれるだけの事はやってみるか」
俺は逃げるのを諦め前に出ると、魔法杖を前に構えた。
宙に浮いているので剣は届かない。ならば魔法だ。
「アーク、お前まだ戦えるか?」
「うう……ちょっと休ませて……」
「了解」
フラフラの足で立つアークをおぶり安全な場所に避難させると、俺は魔法を唱える。
「『ウォーター・フリーズ』ッ! からの『サンダー・レイン』!」
俺は生成した水に向かって電気魔法を放った。
だがしかし、まだ終わっていない。
「『カールド・フィース』! 『プチ・サンダー』!」
俺は創造魔法で生み出した短剣にプチ・サンダーを加えると、すぐさま龍に向かって投げた。
それは見事に命中し、龍の腹を貫く。
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「ああっ! なんか怒ったんですけどおおおおおおおおお!!」
龍はさぞかしお怒りなのだろう。俺に向かって一気に急降下してきた。
さっきの短剣攻撃は大して効いてないみたいである。おかしいな、プチ・サンダー加えたから相性はいいハズなのに。
「うおおおおおおおおおっ!?」
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
俺ばっか狙ってくるので、とっても怖い。ヤバい。
「京夜! ……『妖弓龍骸弾』!」
「『ドラゴニック・バースト』!!」
コハクとライアの必殺技が炸裂するが―――――龍はそれを器用に躱し、俺を持って空中飛行を開始する。
おお、結構眺めがいいな。
「な、なあドラゴン。少し話をしないか?」
「グギャアアアアアアアアアッ!!」
「お前喋れないのか……。面倒くせえな」
さっきからこの龍、俺の首を容赦なく掴んでくるので痛い。潰れる。
俺は何とか鞘からスパエメちゃんソードを引き抜くと、龍に向かってブンブンと振り回し始めた。
流石にウザかったのか龍は俺を放し、俺は地面へと落下する。
「……ぬおおおおお!! 足がああああああああ!!」
幸いそこまでの高さではなかったから良かったが、変な角度で着地してしまったせいで思いっきり足を痛めた。
取りあえずお世話になってる回復魔法を使おう。
「『ライフ・エナジー』!」
そう唱えると俺の足の痛みはスウッと消えていった。
そんな俺の様子を見て、休憩していたアークが。
「なんかきょーや、見事に色んな種類の魔法使ってるね。すごいすごい」
「お前、いい加減戦えよ。ホラ、『ライフ・エナジー』」
俺が仕方なくアークに回復魔法を唱えてやると、アークはゆっくりと立ち上がり、龍の方を見た。
「ねえ、あの龍デカくない……? 魔法効くのアレ?」
「やってみるしかないだろ。……おいレイン! お前も協力できるか?」
俺がそう言うと、レインは自信満々に頷いた。
アイツは一応魔法を使えるようになったみたいだし、取りあえず戦力にはなる。どうゆう風に教えてもらったかとか、宿に帰ったらゆっくり教えてもらうとしよう。
「でも、空中にいるとなればどうしようもならないな。どうすれば……」
「―――――それなら、私たちに任せて」
コハクの言葉に、アルゼルトとシオンが前に出た。
コイツら、一体何をする気だ。
「飛んでるなら、落としちゃえばいいのよ。……準備はいい? シオン」
「うん!」
楽しそうに、二人は笑い合うと―――――
「「『『ダークネス・グラビティ』』!!」」
……や、やり方が汚い!




