紫ドラゴン
「ど、どうきょーや……凄かった……?」
「ああ、お前よく頑張ったよ! 褒めてやる!」
俺はフラフラのアークに肩を貸しながらそう言った。
まあ、取りあえずこれで一件落着だろう。良かった良かった。
「ふう……なんか疲れたな。お前ら、さっさと今日は帰るz」
――――俺がそこまで言いかけた時だった。
急に辺りの魔法使い達が慌て出し―――――
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
ドラゴンの甲高い雄叫びが、辺り一面に響き渡った。
な、何だ。もう終わったハズだろ。
「な、なあ帰ろうぜ。もう俺は疲れたんだ! さあ、とっとと帰るわよ!」
「……京夜。多分今は、そんな事言ってる場合じゃないわ」
アルゼルトが声を震わせながら言う。
もう大体予想はできてる。それを知った上で俺は帰ろうと言ったんだ。
―――――だって、面倒くさい予感しかしないもん。
「ド、ドラゴンだっ! 紫のドラゴンが現れたぞ!」
「ひいいっ! 全員逃げろぉ――――――――――――!!」
その声で、魔法使い達は逃げ出した。
よし、この流れで俺も帰ればいい。さりげなくこの村を出て、どこかの街の宿に泊ればいい。
しかしスタートダッシュを切ろうとした俺の肩を、コハクが掴んでくる。
「おい、お前は何なんだよ! 皆逃げてるし、俺たちも逃げていいだろ。もう俺戦わないよ!? 嫌だよ!?」
「お、お前……! いや、それがどうやら他の魔法使い達が、私たちを頼りにしてくれているみたいでな。ならば、皆の期待に応えなければならない」
「うん、知ってる。それを踏まえた上で俺は逃げようと言ってるんだ。別に期待されるとかどうとかの問題じゃない。命の問題だコレは。……いいか? 人間、人生は一度きり。だったら、後悔しない道を歩んでいきたいと思わないか? な?」
「それはただのダメ人間の自論だ! 私はハンターとして、戦うぞ!」
そう言ってコハクは前に出た。
マジメな奴だなあ。あんな奴相手に戦いを挑むとは。
「じゃあ私も戦います。コハクさん一人に任せるワケにはいきません」
「……私も」
そんな流れになっていき、俺以外の全員が前に出てしまった。
……俺は雰囲気に屈しない男。ここはいち早く離脱するんだ、佐々木京夜!
しかし、俺が走り出そうとすると、コハクが。
「うわあ、空気読めないダメキモクソ男!」
「はいはい、そうですか。悪いが俺はもうその手には乗らn」
「『ウォーター・バインド』!」
「なああああああああああああああああ!?」
結局、戦うことになりました! てへっ☆




