必殺魔法、炸裂―――――!!
「うおおおおお!『ドラゴニック・サンダー』ッ!」
「『フリーズ・バスター』!!」
森に入ると、既に魔法使い達が魔法を唱えだしていた。
多くの人が魔法を放つもやはり威力が足りず、硬質化されているゴキブリバスターの皮膚によってはじき返されてしまう。
うーむ、やはり魔法との相性が悪いな。直接的な攻撃は殆ど効果が無いって言ってたし。
さてどうしたものか、と俺が考えていると。
「『シェイト・オブ・キネシス』!!」
どこか聞き覚えのある声が聞こえてきた、
俺が咄嗟に、後ろを振り向くと。
「ふっふっふ……。どうです? 京夜さん。私、早くも木属性の魔法を覚えちゃいました」
そこには、嬉しそうに立っているレインの姿があった。
良かった、ちゃんとあの男に教えてもらったんだな。
「お、おおっ! やるじゃねえか! 見ろ、効いてるぞ!」
ゴキブリバスター達の方を見ると、苦しそうにひっくり返ってバタバタともがいていた。
うわっ、マジで気持ち悪い。
……あ、もうダメ。
「うえっ……おえええっ……おえっ……」
「き、京夜お兄ちゃん!? 大丈夫ですか!?」
「あ、ああ悪い……」
精神的にやられた俺は、すぐ近くの木陰でアレをぶちまけた。
アレだ。茶色い腹が見えててキモかったんだよ。
あまり多くの量は吐かなかったからいいが、精神的にやられるとなるとこれから先が心配だ。
「ひいいっ! もうマジでキモイ! ……『ウォータースパイラル・フリーズカインド』!」
俺は最上級の氷水魔法を唱えた。
水魔法と氷水魔法は空中から水を放つので、距離は関係ない。好きな場所から水を生成する事が出来るのである。
……よし、これで200匹ほどのゴキブリバスターが冷凍された。後は、アークの必殺魔法を撃つのみである。
「魔法使いの皆さん! 逃げてください! ……アーク、頼む!」
俺は魔法使い達を逃げさせながら、アークに必殺魔法を促した。
若干ゲロを吐いたせいで気持ち悪いが、気にしてもいられない。
俺が遠くに逃げたのを確認すると、アークは嬉々とした表情で。
「はああ……! ……『エンドレス・インフェルノ』ッ!!」
史上最大級の水魔法が、ゴキブリバスター集団へと炸裂した――――――!




