カミナリオヤジvsきょーや! コマンド?
「おおっ!? やるじゃんオヤジ!」
「黙れェ……貴様は今すぐにッ!! 殺すッ!」
そう言いながらも、オヤジは剣を振り回してくる。
少し動きがぎこちないな。もう少し迅速に動けないものだろうか。
「俺の……俺の髪の毛おおッ!!」
うーん、相当髪の毛のことで病んでいたんだろうか。ちょっと悪い事しちゃったな……
――――――なーんて、言うとでも思ったか!? バカめ!!
オッサンのおとり役はアークに任せ、俺はオヤジの背後へと回り込んだ。
「なっ―――――!?」
「残念、ゲームオーバー♪」
俺はオッサンの頭髪を器用にメタルソードで切り取った。
バサリという音がし、俺は達成感に満ち溢れる。
「ああ……なんて気持ちのいいことでしょう!」
「殺すうううううゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
剥ぎ取ると同時に、オヤジの怒りもピークに達した。
完全に剥ぎ取れなかったので、俺は一瞬だけ手を悪魔化させる。
爪でオヤジの髪の毛を切り取ると、すぐさま俺は自分を殴った。これが結構強めに殴らないと戻らないので、痛いんだよなあ。
まあ、他の人たちは気付いてなかったみたいだからいいけど。
「あっははは!! きょーや、ナイス!!」
「おう! 後は任せたぜ!」
「りょーかいっ!!」
アークが杖を前にかざし、技名を叫ぶ。
『ウォータ―デッド・ファイナルフリーズ!』
「ぎゃあああああああああああああああ!!!」
オッサンの上から超・大量の水が現れ、体を包んでいく。
それと同時に水が凍り、オヤジはすっかり冷凍された。
「うおお! すっげえ! さっきはクズとか言って悪かったな! アンタら、すげえよ!」
ふと一人の住民が、そんなことを叫んだ。
その一声で次々と街の人たちからは歓声が上がっていく。うーん、なんてすがすがしい気分なんだ。
っていうか、メタルソードが完全にぶっ壊れた。ライオンもどきで入ったヒビのせいか、完全に壊れてしまった。
そのせいで悪魔化するハメになったしなあ……修理出さなきゃダメだな、こりゃ。
「あ、そういえば凍らせちゃったけど大丈夫なのか? さすがに殺すのはマズイんじゃ……」
「ん? だいじょーぶだよ! そのうち溶けるし、中では息もしてられるから!」
「そうか、良かった」
いやー、しかしモンスターを狩ることよりも気持ちいいぞ、コレは。
モンスター討伐ならぬ髪の毛討伐、完了。
「そういえばお前、体は問題ないのか? あんな大技かましてたけど」
「ふっふっふ……この魔法使いの私がこんくらいでやられるワケが……」
そう言ってアークは、バタリと倒れた。
ダメじゃねーか。これ俺が運ばなきゃいけないやつじゃん。
俺はアークをおんぶすると、いったんさっき居た集合場所に戻ることにした。
……肩車の次はおんぶかよ。
次はライアとコハク視点で書きたいので、少し短くしました。
引き続きよろしくお願いします!




