必殺魔法
『皆さん! 佐々木・京夜様の提案により、急遽森に隠れることになりました! 特に遠距離魔法を使える魔法使いは、直ちに森へと隠れてください!』
そんなアナウンスっぽい声が聞こえてきた。
どうやらスピーカーを使って魔法使い達に呼びかけてくれているらしい。よし、これならすぐに作戦を実行に持って行ける。
すると、遠くから多くの人々の声が聞こえてきた。
「おお! 流石は上級者のハンターさんだ! よし、俺たちも森に向かうぞ!」
「そうね! 最初は物事をおざなりにしそうな顔してる人だと思ってたけど、いざという時にはちゃんと働くのね!」
何故か俺は女性からの評判が悪い。
な、何故女性は人を外見だけで判断するのだ。酷い、酷すぎる。
俺はそんな人間にならない様にしよう。人を外見で判断してはいけない。
すると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「京夜さーん! 大丈夫ですかー!?」
「お、おお皆……無事だったか……」
駆け寄って来た仲間達にそう答えながら、俺はゆっくりとスパエメちゃんソードを鞘に納めた。
今から森に急いで行かなくてはならない。俺の魔法が遠距離なのかどうかは知らんが、やれるだけの事はやってみなくては。
俺が森へ走り出そうとすると、アークが。
「きょーや、私ならあのモーイド・バスターの集団……まとめて倒せるかもしれない」
「!? お前、そんな事できんのか!?」
「うん。……覚えてる? 半年ぐらい前に、私がめちゃくちゃ強い魔法使ったの」
「……ああ。『エンドレス・インフェルノ』ってやつか?」
「そう、それ。それを使えるようになるまでの魔力ポイントが貯まったから、使おうと思う。……魔力ポイントは、常に人間の身体にある物なの。それを私はコツコツ貯めてきたから」
「……つまりは、魔力に上限は無いってことか?」
「そういうこと。魔力ポイントは毎日普通に生活してても増え続けるものだしね」
そう言ってアークは、自慢げに微笑んだ。
確かにあの魔法の威力は凄まじかった。一瞬でラバードドラゴンを吹き飛ばしてたもんなあ。
「よし、じゃあアーク、トドメは任せたぞ。流石にゴキブリバスター達も一点には集中しないだろうから、集まって来たところで魔法ぶっ放してくれ」
「りょーかいっ!」
俺たちは笑い合うと、森に向かって走り出した。




