ルール違反!
「……お、なんかここが一番賑わってるな。何やってんだ?」
村の中に何やら人混みがある。
俺が気になっていると、コハクが説明してくれた。
「ああ、あれは多分、氷砕きのイベントだな。見ろ、氷の中にある魔剣を取りたいらしい」
「……なるほど、確かにそれっぽいな」
魔法使い達が必死になって、デカい氷を叩いたり殴ったりしている。
……ふむ、魔剣か。
「ライア、お前炎で溶かして来たら? ホラ、必殺技のアレ。炎じゃん」
「ええっ!? ……まあ、確かに出来そうですけど……」
そんな事を言いながら俺たちは、人混みに入っていった。
魔法使い達が魔法で必死になって割ろうとしてるが、一切氷が砕かれる事はない。炎の魔法使えばいいのに。
俺は氷の前に歩いて行くライアを見届けながら、辺りの人混みに顔をしかめる。
なんか、魔法使いってイケメン多くない? ガーブの時もそうだったんだけど、なんかどいつもこいつもカッコいい顔してて腹立つ。
……俺もイケメンだったら良かったのになあ。
俺がそんな事を思っていると、司会者らしき人が声を張り上げる。
「次の挑戦者は、こちらの剣士の方です! これは期待できますよお―――――ッ!!」
その司会者の人の声に、周りの人達から声援が上がった。
ライアは苦笑いを浮かべながら、氷の前に立つ。
……アイツ、何かやらかさなきゃいいんだけど。
「『ファイア・インフェルノ』!」
ライアの必殺技が、氷へと炸裂した―――――!(必殺技の発音は練習したらしい)
が。
「だ、ダメですよ! 炎の使用はルール違反なんです!」
「……えっ」
司会者の人が声を上げた。
……。
「氷砕きの魔法は、火属性以外を使うのが慣例なんです!」
どうやら炎は、使用禁止だったらしい。
ど、どうしよう。炎で溶かして来いとか言ったの俺なんですけど。
「……京夜、謝って来い」
コハクに背中を押され、俺は人にぶつかりながら前に進む。
……ええ~。




