空気読めない
「……さて。じゃあ、皆さんゆっくりしていってくださいね。それでは!」
「ああ、またな」
コトネに案内してもらった宿の部屋で休みながら、俺は近くにあったお茶を啜った。
コトネは、何か色々仕事があって忙しいらしい。まあ、そりゃあそうだろうけど。
俺がベットに寝っ転がると、レインが。
「ねえ、来ちゃいましたよコレ! 私が神様と崇められる日が来ちゃいまいたよ! 魔法神レイン様の時代が来ちゃいましたよ!」
「安心しろ、そんな時代2日で撲滅されてる」
俺は再びお茶を啜りながら、適当に答えた。
そんな時代来てたまるか。魔法使えないくせに魔法神とか、ないわー。
「てかお前、魔法教えてもらいに行けよ。まだ2時だし、大丈夫なんじゃねーか?」
俺は腕時計を見ながら、レインにそう言った。
どうやら優しい人達が多いみたいだし、魔法教えてくださいって言ったら教えてもらえるだろう。覚えるのも、殆どの人が見本を見るだけで覚えるから楽だしな。
まあ、俺みたいにガイドブックを読んで習得する奴もいるとは思うが。
レインも魔法は使えないことはないだろう。魔法神とはいえ一応は人間なのだから、覚えられるハズだ。
「えー。折角だから、皆で行きましょうよ! 魔法使いが集まる村、アールドハンクですよ!?」
「……まあ、私もちょっと興味出るし行ってみたい気もするわね」
アルゼルトがリュックから衣服を取り出しながら、そう言った。
……断るんだ佐々木京夜。俺は疲れてるんだ、行きたくない、と。
しかしそんな俺の思いとは裏腹に、シオンが。
「お母さんもそう言ってますし、私も行きます! 皆さんも行きますよね?」
「ああ。私も魔法使いが集まる村となれば興味が出るな」
「じゃあ、私も行くとしましょう」
「私も!」
こ、断れ佐々木京夜。
俺は周りの雰囲気に屈しない男。断るんだ。
「……俺は疲れてるんだ、行きたくない」
俺は小さな声で、そう答える。
絶対に嫌だ。行きたくない。
しかしそんな中、ライアが。
「うわあ、空気読めないダメ男!」
「なあああああああああああああああああああああああああ!!」
結局、俺は周りの雰囲気に流された。




