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俺、異世界で悪魔になりました! ~あくおれっ!~  作者: 紅羽ユウ
アールドハンクにレッツゴー!
212/299

村長の威圧感

「…………」

「…………」

 村長の家にて。

 俺たちは村長の真正面に座りながら、ただただじっとしていた。

 村長は、白髪白鬚のお爺さんだ。こっちの方が神様に似合いそうな感じである。

 しかし威圧感が半端じゃないのだ。この人、ハッキリ言ってものすごく怖い。

 なんかさっきから「わしが口を開くまで喋るでない」オーラを醸し出しているのである。怖い。


 俺たちが黙って座っていると、ようやく村長が口を開いてくれた。

「……君たちは、ハンターの者かね?」

「あ、はい! おっしゃる通りです……?」

 肯定か否定かよく分からない返事をしてから、俺はモンスター2匹ニセ魔法神1人の方を見た。

 コイツらはハンターじゃないが……まあもういいや。ハンターってことにしちまおう。

 すると村長が、ゆっくりと口を開き。


「そうか。……そちらの方は、魔法神レイン様かね? どうも、アールドハンクの村に来ていただき、ありがとうございます」

「あ、いえ……」

 あまりにも重々しい雰囲気なので、流石にそこはレインも空気を読んだようだ。

 誰かこの村長の威圧感をどうにかしてくれ。怖すぎる。

 それを察したのか、コトネがわざとらしい明るい声で。


「でもレイン様、人間界の方に降臨するなんて……ありがとうございます! な、何か理由とかあるんですか?」

「え? いやあ……色々あって、人間界に遊びに行こうかなーと思いまして」

 ……適当だなあ、オイ!

 まあ神様がどうとか言ったら面倒くさいことになるとは思ったが。でも、遊びに行こうかなって、随分と悠々自適な考え方である。


「……取りあえず、魔法神レイン様。来ていただき、ありがとうございます。……今回は君たちに、少し話があってだな」

「は、はあ……」

 俺が重々しい雰囲気に流されながらも、そう返事すると。

「コトネから既に聞いているとは思うが……最近この村に、魔物モンスターの襲撃があってだな。村にいる魔法使いで何とかその時は喰い止めたんだが……今後、再び襲ってくる可能性が高い。……それで、非常に厚かましいのだが、上級者のハンターである君たちに協力してもらいたいと……」

「……」

 レベルの割には殆ど成長していない俺たちに、魔物モンスターだと?

 いや、過去に俺は2匹程倒している。が、悪魔化でもしない限り無理だったと思うんだが。


「なあコハク。お前大分前に、弓でライオンみたいな魔物モンスター倒してたじゃねえか。お前なら楽勝なんじゃねえの?」

「いや、あの魔物モンスターは、凶暴化でない個体だったから何とか不意打ちで仕留められたんだ。この時期だと、繁殖期が過ぎたとはいえやはり凶暴化している個体が多い。……あの、ちなみにどれくらいの数の魔物モンスターが襲撃して来たのか伺ってみても……」

 コハクが、そう村長に訊ねると。


「120匹程だな」

「「「「「「なっ!?」」」」」」


 今、聞こえてはいけない単語が聞こえてきた。

 120……!? 無理だろ。


「大丈夫だ、何も君たちに全てを押し付ける気はない。村の魔法使い達にも協力してもらうからな。……ただ、魔王グループの幹部には気を付けた方がいい。奇妙な動きをし、瞬間移動するとの情報も入っている」

「……。……分かり、ました?」

 ちなみに全く分かってない。

 瞬間移動? その間に瞬殺されそうな気がするんだが。

 俺が焦っていると、レインが自信満々の表情で。


「大丈夫ですよ! 私たちが何とかしてみますから!」

 何を言っているんでしょうかこの人は。魔法を使えない魔法神が魔法の村まで来て、何を言っちゃってるんでしょうか。

 そんなレインに、村長が小さく笑い。


「レイン様。貴方は、魔法を創造している際に、不意の事故で死んでしまったとの言い伝えがあります。貴方が一度死んでしまったというなら、魔法はさぞかし使えなくなっているんだと思いますが……」

「あ、はい……」

 村長の言葉に、レインは小さく返事して肩をすくめた。

 というか、一度死んだ人に出会ってるというのに、随分と冷静である。昔から天国があると信じていたからなのだろうか。

 今思えば、皆もレインに何か訊いたりはしてなかった気がする。魔法神レイン様とか皆最初言ってたけど、2日後には呼び捨てになっていた。

 ……まあ、レインには神聖さの一つも感じられないし、無理もないが。

 そんな中、村長がレインに向かってゆっくりと。


「せっかく魔法の村アールドハンクに来たのですから、魔法使い達に魔法を教えてもらったらどうですか? 魔法神レイン様が来てくださったことを村の魔法使い達が知れば、きっと喜んで教えてくれると思いますよ」

「あ、ありがとうございますっ!」


 優しい人、多いなあ。

 

 

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