かわいいインコがなかまになった!
「……おいアーク。たしかにソイツはインコだが、依頼されたインコじゃねえ。なぜこんなとこにいるのかは知らんが、どっかに逃がして……」
アークはインコをキラキラとした眼差しで見つめている。
そして俺にインコを見せながら。
「この子、私たちで飼おう……」
「ダメだ」
俺は言い切る前に即答した。
実を言ってしまうと俺、動物や虫が大の苦手なのである。俺がまだ小学生ぐらいの時だっただろうか。一度、近所の犬に噛まれたことがあるのだ。
それがトラウマとなり、俺は虫や魚ですら嫌いになってしまった。
ハッキリ言ってもうこれ以上問題のあるメンバーは……
「うわあああーん!! きょーやが、きょーやがああ!」
「ちょ、おま!?」
今のアークの泣き叫びが原因となってしまったのだろう。
俺たちの周囲には街の人たちが集まり、ヒソヒソと陰口を言い合っていた。
「ヤダなにあの男、最低……」
「あんな可愛らしい女の子を泣かせるなんて……」
「クズのお手本ね……」
ふざけんじゃねえ。
なぜインコを飼うのを断ったぐらいでクズ呼ばわりされなきゃならんのだ。
「……あの男、警察に通報した方がいいんじゃない?」
「そうね、そうしましょう」
「よーしアーク! インコ飼っていいぞオオオオオオオオ! 一匹や二匹、何百匹でも飼っていいぞオオオオオオ!!!」
一人の女性が携帯を取り出そうとしたところで、俺は叫んでいた。
さすがに俺も警察に通報されたくはない。今のこの状況だとホントに牢屋に入れられちゃいそうだ。
「え、いいの? でも百匹もいらない……」
「逃げるぞお、アークウゥゥゥゥ!!」
全力疾走開始。
……走るのはもうこれっきりであってほしい。
「おいアーク。ホントに飼うのか?」
「もちろん! 名前何にしようかな~」
アークは嬉しそうにインコを撫でている。飛んで逃げていかないのがまた不思議だ。
この二日間で三人の少女と仲間になり、さらには鳥まで加わるとはなあ。運が良いのか悪いんだかよく分からない。
にしても、依頼された方のインコが見つからないなあ……。
俺は走り疲れ、その場に座り込むと。
「おい、コハクを返してもらおうじゃないか」
……げっ。
一瞬さっきの騒ぎで警察に通報されたと思ったが、今度は別の問題だった。
見覚えのある男の顔は、中年男性を連想させる。
そう、コイツは先ほどコハクを引き止めていたオッサンだった。
よーく見ると頭までハゲてる。
「……何か用ですか?」
俺はイライラしながら男に詰め寄る。なんかコイツだけは、どうも気に食わない。
先ほどコハクに話しかけていた時もそうだったが、「めんどくさい昭和のオヤジ臭」がする。
あいにく俺はめんどくさい事は嫌いな男。できれば今すぐにでもこの場を去っていただきたい。
「『何か用ですか?』じゃねえ。今すぐにコハクを渡してもらおう」
「固く拒否いたします。あなたのようなハゲクソオヤジにコハクを渡したらきっとろくなことになりませんよ?」
その俺の声で周囲の住民たちが笑ったのが分かった。
どうやら俺だけでなく、街の人たちもこのオヤジを気に食わないっぽい。
「き、貴様あ……俺のコンプレックスを指摘しやがって……殺すっ!!」
俺の言葉でオヤジが起こったのが分かった。
うひょー、このオヤジめちゃくちゃキレやすいじゃん。イタズラしたら面白そうなやつだ。
よく見るとオヤジは完璧なハゲではなく、後ろの方に少しだけ髪が残っている。
……アレをメタルソードで完全に切り取ったら面白いだろうなあ……
他にはどんな攻撃をしてやろうか。精神的にも傷つけるものがいい。
あんなオヤジ、モンスターや魔物と比べれば、簡単に倒せそうだ。
「貴様がそこをどかないと言うのならば……無理やりにでも通るッ!!」
「……行かせませんよ」
俺は鞘からメタルソードを引き抜いた。
「おいアーク。……分かってるな?」
「うん。あの人の髪……今すぐ剥ぎ取りたい」
どうやらアークも俺と同じ心境だったみたいだ。
俺たちはダッシュでオヤジの頭へと駆け出していった。
( ゜Д゜)( ゜Д゜)( ゜Д゜)( ゜Д゜)( ゜Д゜)
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