戦闘開始
「ひ、酷い……まさかここまでとは……」
「自業自得だろ」
牛乳でベチャベチャになった皆を見ながら、俺は牛乳サラダを一口。
……あれっ。
「なんだ、案外美味えじゃねえか」
「そうです! 牛乳サラダは美味しいんですよ!」
「マジかよ……」
予想外に美味しかったので、ついつい俺は何度も食べて確認してしまった。
な、なんだコレ。なんでこんなのが美味いんだ。
いい感じに甘くなってやがる。美味い。
俺がサラダを食っていると、コトネが。
「明日は、結構な距離を歩くと思いますから、ゆっくり休んでくださいね! ……良かった、魔法神様が来てくれるなら村長も喜びますよ~」
「一緒に頑張りましょうね!」
俺以外の全員が、頑張ろうと言って笑いあった。
……デス・ハイキングの予感しかしねえ。道中でゲロを何発ぶちまけるハメになるのだろう。
転生して身体能力は上がったが、元がニートなので体力はそこまで上昇してない。
皆の体力と元気さを見習いたいとは思うが、まあ元ヒキニートなので、多少のインドア思考は仕方がないだろう。
……と、ふと俺の皿の肉が減っていることに気が付いた。
隣には、もぐもぐと美味そうに肉を頬張るアークの姿。
……。
「ホレアーク、この唐揚げやるよ」
「いいの!? ありがとー!」
俺はアークに唐揚げの皿を手渡した。
数秒後には、きっとコイツは泣き喚いて悲鳴を上げてるんだろう。
「ひゃあああああああああああああああああああああああああ!?」
ほらね、やっぱり。
なぜならば――――――俺が唐揚げに、プチ・サンダーを放ったから。
そりゃあもう痛いに決まってるだろう。電気が口内にビリビリスマッシュだもん。
「大丈夫か、アーク? ほら、この水飲めよ」
「あ、ありがと……」
俺は笑顔でアークに水の入ったコップを手渡した。
「あああああああああああああああああああああああああ!?」
しかしそれは罠。超キンキンに冷えた水を水魔法で生成し、さらにそれにプチ・サンダーを再び加えてやった。
……ふう、スッキリ。
「京夜お兄ちゃん、女の子はもっと大切に扱ったほうがいいですよ? アークさん痛がってますよ?」
「京夜、こんなにも優秀なメンバーが揃っているのだから、もう少し優しく……」
知るか。なんじゃそれ。
「悪いが俺にそんなものは通用しないぞ。俺に優秀なメンバーの概念なんてものはないが、お前らが俺よりも弱いということは明確だ。何ならここで勝負するか?」
「よし乗った! 『ブリザード』!」
「はっ! 俺にそんな弱っちい水魔法、当たるわけねーだろ!」
俺は素早く頭上から降ってきた水を回避。
しかし、今度は後方から弓を弾く音が。
「『睡眠弾』!」
「ちょ、ええ!? おわ、危っぶねえ……!」
次々と飛んでくる矢を、俺は紙一重で躱す。
……あれ?
なんで俺、勝負するか? なんて言っちゃったんだっけ。




