家って最高!
「……ふう。じゃあな、レーディル! また会おうぜ」
「ああ。また会おう」
俺たちは白に戻ると、レーディルに別れの挨拶を告げた。
この城にもお世話になった。レーディルには感謝しなければ。
「ああ、そういえば。……貴様らは何処に住んでいるのだ? 遠くから来たらしいが」
唐突に、レーディルが俺たちを呼び止めそんな事を言ってきた。
「アルゼ村っていう森奥だよ。最近では、迷惑な警察官ばっか来てるなあ」
「……警察と言えば。京夜は一体、何をやらかしてるのだ? なんか最近しょっちゅう街で、佐々木・京夜がどうのこうのと聞くんだが」
「ロリコンの変態と言う噂が立てられてるんですよ」
俺より早く、ライアが言った。
すると、レーディルは憐みの眼で。
「京夜、変態も程々にな? また警察が動き出すぞ」
「いや待てよ。お前だって似たようなもんだろ。俺は疑惑が立ってるだけでロリコンでも変態でもない。どっちかっつったらお前の方が変態にふさわしいぞ? ニマニマニマニマ」
「何を言うか。ニマニマこそが割れの長所なのだ」
「……へえ」
俺はニマニマしながら訴えてくるレーディルを小さく鼻で笑いながら、くるりと背を向けた。
「じゃあな!」
「ああ!」
さて、帰ろう。
■
「いやあ! やっぱり家が一番だよな、うん! なんか憤慨して冒険行くぞなんて言っちゃったけど、もう俺冒険いいや!」
「京夜、仮にもハンターなのだからクエストには行けよ……? まあ、確かに久しぶりの家は居心地がいいが」
突っ込みながらも、コハクがソファーに寝っ転がる。
2億もイデア聖街の人達に払ったことだし、もう心配はない。いやあ、家っていいね。
「も~なんかどーでもいいやって感じだよね。もう私クエスト行きたくないなあ……」
「激しく同意しますよ。ああ……気持ちいい……」
ソファーと毛布のセットでくつろぎながら、レインが幸せそうに言ってくる。
まあ、今日明日ぐらいは休んでも別にいいだろう。イデア聖街にいた時行ったクエストの報酬もあることだし。
それにしても、本当に居心地がいいなあ。もうずっとここにいたい。
「ふう、なんか喉乾いたな。……お、丁度いいや」
俺は近くにあったカ✕ピスの原液みたいなのを手に取った。
これは、前に喫茶店に行ったときにたまたま売っていた物である。まさか異世界でカ✕ピスもどきに出会うことになるとは。
俺は原液をコップに入れると。
「『ウォーター・リフレイン』」
水を生成した。
すると、そんな俺の様子を見かねたのか、アルゼルトが。
「京夜、私にも頂戴! 私も喉乾いてるのよ~」
「ほい。『ウォーター・リフレイン』」
差し出してきたコップに原液を注ぎ、水魔法を唱える。
そして俺は一言。
「……魔法ってこういう事にも使えるから、便利だよなあ」
「……ちゃんと戦闘に使ってくださいよ。……私にもください」
「お前も貰うんじゃねえか!」
言いながらも、俺はレインにもカ✕ピスもどきを作ってあげた。
そして俺も一口。うん、うまい。
「でも、私は魔法の創造者ですからね? 凄い人物なんですよ――――――」
レインがそこまで言った時だった。
バンッと、家のドアが開かれる。
……あ、そういえば鍵閉めてなかったっけ。
俺が首を動かし、そちらを見ると――――――
「ま、魔法神様……! 魔法神レイン様はいますかっ……!」
見たことのない少女が、そこには立っていた。




