ラグナロク、排除
「なあ、いい加減機嫌直してくれって。悪かったから」
「「……」」
アルゼルトとシオンは、さっきからずっとこんな調子である。
俺がちょっと苛めただけなのに、コイツら泣きながら俺に掴み掛かってくんだもん。いやあ、面白いね。
「というか。京夜さん。この道いったいどこまで続くんですか? もういい加減疲れた……」
「そう言うなって。森まで多分もうちょいだから」
俺に寄りかかってくるライアを引き剥がしながら、俺はそう答えた。
確かに結構距離がある。足が痛い。
今歩いてる場所は、街から少し離れた森みたいな場所である。森と言ってもそんなデカい場所ではないが。
もう今日は、街に泊ってもいいかな。まあ多少騒ぎにはなるだろうけど。
でも久々にあのボロイ旅館に行くというのも、悪くない。
「……ん?」
しかし――――――その時だった。
俺の背後から、ドドドという轟音が聞こえてきて――――――
「佐々木・京夜あああああああああああああ!!」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
……どうしよう、絶対面倒くさいやつだ。
「おいお前ら、先行っててくんねえか。俺も後で追いつくから」
「……分かった」
俺の言葉に素直に皆は頷くと、足早にその場を去っていった。
多分、危険を察したのだろう。逃げる時だけは聡明なんだよなあ、アイツら。
……まあ、今はそれよりも。
「貴ッ様ああああああああ!! 俺をゴミ箱にぶち込みやがって――――――ぐっ!?」
「……あ?」
俺は無言でソイツの腹を蹴る。
俺の元にやって来たのは――――――聖騎士ラグナロク。いつの日か俺がゴミ箱にぶち込んだ天界出身の奴である。
どうやら俺を追ってきたらしい。ああ、めんどくさいしウザい。消えていただきたい。
「だから、天使なら容赦しねえっつってんだろ。……邪魔すんじゃねえ」
「ごはっ……! くっ……『バスター・ソード』!」
突如放たれた光線を俺はかわすと、深くため息をついた。
……ハッキリ言って俺は、天使が大嫌いである。
俺は天使と聞けばもっと神々しいものを想像していた。それがなんだ、拘束して「魔力吸収機」だの言い張るわ、神様もゴミみてーな性格だわ。
天使は、悪魔の敵だ。排除する。
「……よし、人は……いねーな」
取りあえず周囲を確認。
幸い場所は森……だな、うん。
木が若干邪魔だが、まあそれは仕方がない。我慢しよう。
「そちらがその気なら―――――いいだろう。貴様には、殺処分も下されているs」
「先手必勝オオオオォォォォォ!!」
俺は、腰の剣へ手を掛けるラグナロクに襲い掛かった――――――!




