動物に襲われた!
「おいお前、はよしろ。氷溶けて警備員達来ちゃうかもしれないだろ」
『む、分かった。では歩きながらでも、貴様と話をするとしよう』
俺たちは出口に向かって歩きながら、他愛もない会話をする。
「てかさあ。お前なんで俺襲ったの? あの後俺逮捕されて牢屋入れられたんですけど」
『仕方がないだろう。あの時私は寝ぼけていたのもあり、敵が来たと思ったのだ。まあ、目つぶしは正直驚いたが』
「…………」
なんか怖いヤツだとと思っていたが、案外そうでもなかったらしい。
俺はホッと息を吐くと、ガイアドラゴンに何故オリから出したのかを説明する。
「ボルシャックってヤツが、お前に会いたがっててさ。ここからちょっと遠い森に来いって言われてな」
『おお、ボルシャックか。我も会いたいと思っていたところだ。……全く、気が付いたら動物園のオリの中にいるものでな。助けが来るのを待っていた』
「? 気付いたらって、どういうことだ?」
『いや、なんか我が昼寝していたら、そのまま動物園に運ばれてな。気が付いたらオリの中だった』
「……お前、寝てばっかじゃねーか」
『それ以外やることもないものでな』
そう言ってガイアドラゴンは、フッと小さく笑った。
コイツも多分暇しているのだろう。はやくボルシャックに会わせてやるか。
俺がそんな事を考えていると、ふと遠くの方から多数の悲鳴が聞こえてきた。
なんだろう、係員の人たちかな。
「うわああああああああああ!! 誰か! 誰か助けてああああああああああ!!?」
「ひゃあああああああああああああ!! なんかライオンが舐めてくるんですけどおおおおおおおおおお!!」
「いやあああああ! 『バインド・リフレクト』!」
その声は、俺の仲間達の声だった。
……何をやらかしたんだろう。
「わり、ガイアドラゴン。ちょっとここで待っててくんねえか」
『承知した』
俺はスタスタと声のした方向に歩きながら、深くため息をついた。
面倒くさい予感しかしないが、アイツらをどうにかしないと森に行けない。置いてってやっても、アイツら怒るだろうしなあ。
俺が声のする場所までたどり着くと――――――
「ああっ! 京夜助けてくれ! コイツらが……あ、そこはあああああああああああああああ!!」
「くすぐったいです! ひゃああああああああああああははは!!」
「……」
動物たちに舐められている仲間達の姿があった。
何コレ。何があったんだよ。
「ちょっと京夜、ぼーっとしてないで助けなさいあああああああああああああああ!!」」
「京夜お兄ちゃん助けああああああああああああ!!」
涙目で訴えてくるアルゼルトとシオンの前にしゃがむと、俺は一言。
「『強くてカッコいいイケメン京夜様、助けてください、お願いします』……だろ?」
「「うわああああああああああああ!! 悪魔ああああああああ!!」」
ふっ、実に滑稽だ。




