京夜の敵察知
「……さて。じゃあ、取りあえずお前らは周りの奴らを頼む」
火山にて。
俺たちはリベンジするべく、炎の精霊30匹クエストへと挑戦していた。
ちなみにレインは留守番。来てもらっても大した戦力にならないので、城の手伝いをしてもらってる。
当然、アルゼルトとシオンも寝てるので留守番。……アイツらちょっとは手伝えよ。
「よし。『ウォーター・バインド』!」
さっき魔法ガイドブックで復讐した魔法を、俺は早速唱えてみた。
すると大量の水が炎の精霊へと降り注いでいき、動けなくしていく。
バインドは非常に便利だ。動けなくするという特殊能力があるので、非常に使い勝手がいい。
俺は動けなくなったところを捕獲網で慎重に捕獲すると、捕獲用のカゴに入れる。
「きょーや! なんか数がやたら増えて来てるんだけど!」
「くっ……分かった! ちょっと待ってろ!」
数が多いという事を念頭に入れておくと、俺は再びウォータ-・バインドを唱えた。
やはり俺の魔力に終わりは無いようだ。撃っても撃っても魔力が尽きる気がしない。
「お前ら! 下がっとけ!」
いつの間にやら多くの敵の前に立っている3人に叫ぶと、俺は魔法を唱える。
「『ウォーター・フリーズ』!」
取りあえずの氷水魔法を俺は唱えると、俺はすぐさま別の魔法を唱えた。
「『サンダー・レイン』!」
「「「おおおおっ!?」」」
凍らせたところに俺は懇親の電気魔法を放った。
予想通り電機は氷を包んでいき、炎の精霊をビリビリさせて動けなくする。
俺は氷ごと炎の精霊を捕獲すると、ふう、と一息ついた。
「なんで私よりも魔法使いこなしてるの……。ねえ、私魔法学院で結構勉強して来たんだけど!?」
「まあ、いいじゃないですか今は。助かりましたよ、京夜さん」
「うむ、頑張ったじゃないか京夜」
何故か上から目線のコハクに肩を叩かれた。
魔法学院とやらは知らんが、どうやら俺の魔法の使い方に驚いたらしい。俺はちゃんと考えて魔法を使ってるからなあ。
俺はチラリと捕獲用のカゴに目をやる。
「えーと……28匹か? 残り2匹、どこにいるんだろ」
「あ。それならいいアイテムがあるぞ」
そう言ってコハクはごそごそとポケットを探り、一つの小瓶を取り出した。
……何コレ。
「お前、これどうしたの? 何コレ?」
「これは一時的に千里眼になるドリンクだ。小さい炎の精霊を一々探すのは疲れるだろう? 先ほどレインに貰ったんだ」
「……ああ、そういえばアイテム買いに行ってたとか言ってたな」
なんか色々アイテム買って来てたっけ。
……いや、でもさ。
「俺敵察知スキルあるからいらないんだけど。お前らだって敵察知スキルは習得済みなんだろ?」
「いや、私たちのは規模が小さいんですよ。千里眼ドリンクなら3キロぐらい先まで分かりますし」
「……いや、俺なら10キロまで多分分かるけど」
「「「えっ!?」」」
俺は試しに、敵察知スキルを発動してみた。
……。
「2キロ先に……なんか赤いのがいるな。5キロ先は……ダークヘラボーン? なんでこんなとこいんだよ。……お、見つけた。7キロぐらい先で遠いけど、炎の精霊がうじゃうじゃいるあだだだだだだだだだだだ!?」
「ねえ、何なんですか!? なんでそんなチートみたいな……」
え? そりゃあ悪魔だからさ。はっはっは。




