熱い寒い痛い!
俺が生き帰ってから、2日程経った頃。
俺たちはクエスト受付窓口に立ちながら、愚痴をこぼしていた。
「なあ、なんで? なんで借金なんかあんの、俺ら? 最近、前に壊しちまった食堂からの借金もあって、ホントヤバいんだが」
「あれは私たちのせいじゃないですよね。天使3人のせいです。……全く、やってられませんよ」
言いながらも、俺たちは良いクエストが無いか探す。
うーん、報酬が美味しいのはあるんだが、ちょっと難しいのが多いな。
いや、レベルは高いんだよ、俺ら? ただ、雑魚モンスターをセコイ方法で倒したりとかしかしてないので、全然実力がつかない。
俺はまず悪魔化しないと強敵相手なんか難しいし、ポンコツ仲間たちも頼りになりそうにないし。
散々追いかけまわされるのも、いい加減疲れるのだ。楽でなおかつ報酬が美味しいクエストに行きたい。
俺がそんな事を考えていると、ふと一つのクエスト依頼書に目が言った。
「……『炎の精霊30匹の捕獲。報酬は1匹につき、10万ゼニーとなります』。……なんだよこれ、めちゃくちゃいいじゃねーか」
「ほう、炎の精霊か。実際に捕獲してみたことはないが、実用性があるらしいぞ。薪替わりなんかにもなるし、冬場にはありがたいモンスターだ」
「もう春なんですけど」
「……。まあ、いいじゃないか。細かいことは」
コハクはそう言いながら、クエスト依頼書を受付嬢へと持って行った。
俺も慌ててクエスト受信しながら、深くため息をつく。
……やっぱり前世に転生しといた方が良かったか?
借金なんて聞いてない。何? 何なのコレ? 嫌がらせか?
いや待て、俺。きっと人生の中でこんな事、しょっちゅうあるハズだ。
……ないだろうなあ……。
■
「ぎゃああああああああああああああああああっ!? 熱ッ!? 熱いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
俺は炎の精霊とやらを相手に、必死になって逃げ回っていた。
あのですね、熱い。とにかく熱い。
体にやたらとベタベタ張り付いてくるし、ウザい。捕獲なんかできたもんじゃねえ。
「おいアーク! コイツら捕獲しろ! 早く! ……って熱ううううううううううう!?」
「頑張ってきょーや! ……『ウォーター・ヒール』!」
アークが生み出してくれた水を頭からかぶりながら、俺は捕獲網で近くにいた炎の精霊を捕獲した。
そしてすぐさまソイツらを捕獲用のカゴに入れると、俺は深く息を吐く。
「ああああああああああ!? 京夜、服が! 服がああああああああ!!」
「お前、防具は!? 防具どうしたよ!?」
「そ、それが、殆ど燃え尽きてしまって……!」
そう言って必死に弓で炎の精霊を掃うコハク。
なんか服が所々破けていて、ちょっとエロ……何でもないです。
俺は紳士な男。こんぐらいじゃ動じない。
「えいっ! ……『ウォーターデッド・ファイナルフリーズ』!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!」
アークの放った水魔法が、俺へと命中した。
熱い寒い痛い。もうヤダ、何コレ?




