2億? 無理でーす
「ああああ!? ……『グラン・ヒール』!!」
「ああっ!? くそっ、ならまた引き裂いて……」
「『グラン・ヒール』!」
「くそっ!」
引き裂いたハンターカードをアークが必死になって修復してきたので、俺は慌てて再び引き裂いた。
しかしまたもアークに修復される。
――――――そんなやりとりを続ける事、数分。
「くっ……やるじゃねえか……」
「そ、そちらこそ……」
互いに息を荒くしながら、俺たちはベッドの上に倒れ込んだ。
……つ、疲れた。
そんな俺たちを見て、コハクが呆れながら。
「全く、京夜は一体どういう神経をしているのだ? ハンターカードを破くなど、常識知らずも甚だしいぞ」
「いやそんな事言われてもさ。……やだよ? 俺。借金返済なんか協力しないもん」
「無理だ。強制参加だ」
「嫌だ」
「ダメだ」
コハクの気迫に押され、俺は深くため息をついた。
何で生き返って早々、借金返済協力のお知らせを告げられなくてはならないのか。意味分からん。
「きょーやのせいで魔力ポイント使い果しちゃったんだけど。あと体力も。ねえ、どうしてくれるのかな?」
「何のことですか――――?」
「…………」
「ああああやめろ! なんの沙汰もなく噛みつき攻撃かましてくるんじゃねえ!」
俺の手に噛みついてきたアークを引きはがしながら、俺は割と真剣な表情で皆に言った。
「はあ……。分かったよ。んで、具体的には、その借金的なアレの金額はどのくらいなんだ?」
まあ、簡単に返せそうな値段なら、協力してやらんこともない。
前に貰った報酬とかもまだ一応は残ってるし、ちょっとずつ稼いでいけば何とかなるだろう。
しかし皆から出た答えは、予想外のものだった。
「「「「「「2億」」」」」」
「諦めよう」
俺はベッドの毛布にくるまった。




