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死……んだ……?

 目を覚ますと、そこはいつの日か見たような、暗闇に包まれていた。

 ここは……どこかで、見た事がある。


 ―――――ああ、そうか。

 俺、さっき死んだんだった。

 6ヵ月程の間だっただろうか。随分と長く感じたが、案外こんな生活も悪くなかった気がする。

 アイツらと別れるのは寂しいが―――――これも、きっと仕方のない事だったんだろう。


 俺があふれてくる涙を堪えていると、突然空間から一人の女性が現れ――――――俺に、言ってきた。


「あなたは……前にも一度、この死後の世界に来た事がありますね? ……まあ取りあえず、改めまして。そして、ようこそ、佐々木・京夜さん。死後の世界・地獄へ。あなたは、先ほど死にました」


 その女性がそう言うと、急に辺りの様子が変わっていき、徐々に暗闇が薄れていく。

 なんだというのだ、もう。

 しかし、目の前に現れた光景に―――――俺は驚愕した。


「これ……」

「ええ、そうです。これは―――――あなたが『死』と訊いて作り出した映像ですね? これは……あなたが死ぬ直前の映像でしょうか」

「……はい」

「死」と聞いて思い浮かべるのは、モンスターに殺される前の映像だけだ。

 しかし、今はそんな事よりも。


「一つだけ、訊いてもいいですか?」

「はい、どうぞ」

「……。俺の仲間達は―――――ちゃんと、幸せに生きてくれていますか?」


 これが一番、俺が訊きたかった事だ。

 俺が死んでしまったことでアイツらは悲しむかもしれないが――――――それを受け入れて、しっかり生きてもらえるようになってほしい。

 ―――――俺だって、死にたくて死んだワケじゃない。

 でも、あんな世界で生きていたら、きっといつこういう事が起きてもおかしくなかったんだろう。だったら、受け入れなくてはならない。

 俺がそんな事を考えてると、その女性は。


現在いまは時間を停止させて話しているので、未来の事は分かりませんが……。でも、少なくとも無事であるという事は確かでしょう。あなたの『逃げろ』と言ってハンター達を逃がした行動。あの行動は、きっと賞賛に価しますよ」

「……そう、ですか」

 

 良かった。どうやら俺のあの行動は、無駄ではなかったらしい。

 それに、俺一人で多くのハンター達の命が救えたなら、もう悔いはないだろう。

「でも――――――。どうしますか? 再び、異世界へと転生させますか? 今ならまだ、あなたのその格好、年齢のまま転生させることができますが」

「……え?」


 ……必死に涙を堪えていた、俺の努力を返せ。

 

 

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