新しいわざを習得せよ!
「じゃあ改めて。仲間が増えたことにかんぱーい!」
「「「かんぱーい!!!」」」
近くにあった飯屋にて。
俺たちはコハクが仲間に加わったことを祝って、昼飯を食いまくることにした。
いやー、それにしてもまともなメニューが多くて良かった。俺が食えそうなものもこの店にはたくさんあるので、テンションが上がる。
……いや、メニューがマズそうだったのは一番最初に行ったあそこの店だけだったんだよな。
旅館のメシもフツ―に美味かったし、問題なかった。
なぜあそこだけ……?
「なあ、唐突ですまないんだが。ここら辺にある飯屋ってさ、味とか変わってくるのか? 正直言って最初に行った飯屋はめちゃくちゃ不味かったんだが……」
「ああ、ここら辺のお食事屋さんは、装備を着けないと味が変わるんですよ。あの時京夜さんは装備を着けていませんでしたよね? だからじゃないでしょうか」
「へー、すげえな……」
いやマジで、ホントすごいと思う。
どうなっているんだこの世界の技術は。装備で味が変わるとか聞いたことねえ。
思えば旅館の時も、メタルソードだけは常に身に着けていたっけな。
「ねーコハク! コハクはどのくらいこの街に住んでるの?」
「ん? ああ、私は最近この街に来たばかりなんだ。学校を卒業してから行き先が決まってなかったものでね」
「へー、学校ってモンスター対策学校?」
「ああ」
……モンスター対策学校ってなんだろう。
ああもう、いいや。気にしないでおこう。
今の俺には多分、必要ない知識だ。
それにしてもコハクを仲間に入れた時はずいぶん不満気だったくせに、仲良くなっているものだ。
しかも自分より年上と思われる人にタメ口とは。いやまあ、俺もライアとアークより年上なんだけど。
「んで、メシ食い終わったらどのクエスト行くんだ? できるだけ簡単なのを……」
俺は漫画肉っぽい肉を食いながら、全員に訪ねた。
できれば比較的安全かつ簡単なのを選びたい。
「えー、せっかくコハクもいるんだから難しいの行こうよ。人数も増えたんだから、勝てるんじゃない?」
ああ、確かに人数は増えた。
だが、活躍回数が少なすぎるんだよ!! 必殺技一回使うだけであんだけ疲れるとか……
おとりをやる俺の方が、まだ活躍できてる気がする。
「ふっふっふ……京夜さん? 京夜さんが何を考えているのか分かりますよ? ただ、私たちが使える魔法の種類は、もっとたくさんあるんです」
「ほう。例えば?」
「『ライフエナジー』、『ドラゴニックサンダ―』、『ファイナルバースト』、『エン……』」
「分かった。もういい」
聞くと長くなりそうなので、俺は途中でやめた。
しかしライアは、無視して喋り続ける。
「自分で訊いといてなんなんですかあ……技には、体力を使わないものだってあるんです。技と言うより、スキルと言った方が分かりやすいでしょうか」
「だったら最初からそれ使えや!」
マジでなんなんだコイツら。
ラバードドラゴンの時なんかもうやばかったんだぞ。炎、俺に直撃したからな?
……あとアークにも言ってもらえたが、あの時の俺はかなりカッコよかったと思う。グッジョブ、俺。
「いや、その分威力だって弱くなりますよ? 回復技とかはいいですけど」
「ああ。回復技は結構重要になってくるぞ。回復技だけは魔法使い限定じゃないからな。京夜も覚えてみたらどうだ?」
ライアの発言に、コハクが同意を示してくる。
回復魔法か、確かに便利そうだな。ただ、誰に教えてもらえば……
「おっ。アンタ、ゼルドギアを倒したっていうハンターだよな。回復技を覚えたいなら、俺が教えるぜ?」
後ろから一人、男の声が聞こえる。
振り返るとそこには、ザ・ポジティブといった感じの元気そうな男性が立っていた。
「俺の名前はティールっていうんだ。回復技は俺、大の得意なんだぜ! 今ならタダで教えてやってもいいけど?」
へえ。見た目に似合わず回復技得意なんだな。
ティールの体格は、俺の身長より10㎝ほど高い。俺の今の身長が確か167㎝だから、結構デカいことになるな。
しかしラッキーである。早くも回復技が得意な人間に出会うとは。
「ちょうどいい機会じゃないか。京夜、教えてもらったらどうだ? ここで待ってるから」
「ああ、そうする。完璧に覚えてきてやるぜ」
正直この筋肉男と技習得は気が引けたが、まあ早いとこ覚えといた方がいいだろうしな。
いやまあ、コハクにでも教えてもらえばよかったのかもしれないが、せっかくのお誘いだし。
俺はティールに案内され、街の広場へと連れていかれた。
( ゜Д゜)( ゜Д゜)( ゜Д゜)
引き続きよろしくお願いします!