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動物苦手です

 俺は歩きながら、レーディルに問い掛けていた。

「なあ、その鶏たちは何処にいるんだ? 結構遠いのか?」

「いや、庭に鳥小屋があるので、そこにいるハズだ。急ぐぞ」

「へーい」

 俺たちは走り出しながら、辺りに人がいないか確認した。

 よし。幸い人はいない。ならば、多少走っても問題ないハズだ。


「……んで、何時までに完成させなきゃならないんだ? もう少し時間はあるよな?」

 俺は走りながら、レーディルに訊いた。

 昼まではまだ時間がある。鳥に行って帰って来ても作ってる時間はあると思うんだが……。

 しかしレーディルは首を振り。

「いや、相当ヤバい。今日はバゼル殿が出掛けるらしいので、12時までには完成させなくてはならないんだ。マズイ。非常にマズイ」

「はあっ!? 12時って、残り30分しかねーじゃねーか! どうすんだよ!?」

「……何とかするしかない」

 レーディルは俺には顔を向けずに、そう答えた。

 自分の腕時計を確認すると、現在の時刻は11時半。え? これもうダメなやつじゃね?

 俺が焦りながら走っていると、急にレーディルが立ち止まったので、俺も慌てて走るのを止めた。

 どうやら、庭に着いたらしい。


「よし、着いた。鶏小屋は……多分あそこだな。よし、急ぐぞ」

「おお。なんかやけにいっぱいあるな……」

 俺は庭全体を見回しながら、小さく呟いた。

 色んなペットを飼っているのか、小屋の中からウサギっぽい何かや犬っぽい何かなどの鳴き声が聞こえてくる。


 俺がそれらの鳴き声を聞きながら、鶏小屋の前に立つと。

 ――――――目の前の光景に、驚愕した。


「……なあ、レーディル。何コイツら? エリマキトカゲか?」

「えりまきとかげ? なんだそれは。これは鶏だぞ」

「いやどう見ても違うだろ」

 俺の目の前には、ピーピーと鳴く、どう考えてもエリマキトカゲの様にしか見えない生物がいた。

 頭部の周りにもちゃんとビラビラみたいなの付いてるし、形そのものがは鳥の形とはいえ、あれはどう見てもエリマキトカゲだ。

 いや、別にいいんだ。世知辛い世の中だし、こんぐらいの事あっても別におかしくはないと思うよ?

 ただ、一つ言わせてもらおう。

 ――――――キモイです。


「ひいいいいいいいいいいっ!!」

「!? どうした京夜!?」

「わ、悪いがお前一人でやってくれねえか……。卵は持つからよ……」

「……まあ、構わんが」

 せっせと卵を回収するレーディルをよそに、俺は鶏小屋の前に立ちながら呼吸を整えた。

 いや、モンスターと散々戦ってきた奴が何を今更と思うかもしれないが、こういうリアルな動物はマジで無理。ドラゴンとかはゲームでよく見てたからいいんだけど、リアルな動物となると無理なのだ。

 愛でたいという気持ちはあっても、どうしても体が受け付けない。何故だろう。


 ……うっ、吐き気がっ……。

 

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