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卵ガッシャーン! ピンチです!

「で、一体何を作るんだ?」

 俺は言われた通りに食材を切りながら、レーディルに訊ねていた。

「うーむ、バゼル殿はオムライスがいいと言っていたな。卵あったかなあ……」

 そう言って冷蔵庫を漁るレーディル。

 いやもうね、多分これ何が前世と一緒で何が違うのかとか突っ込んだらダメな奴だわ。まあオムライスとなれば、作り方は大差はないハズだが……。


「おお、あったぞ。なんかやたらと高級そうな卵であるな。割らないようにしなくては」

「お、おい。そんなフラグみたいなこと言うなよ」

「大丈夫、いくらなんでもそれは……あああああああああああああああああああああああああああ!?」

「あああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」


 ————ガッシャーン。

 レーディルの手にあった卵のパックは落ちて行き、そのまま地面へと落ちて行った。

 床には、卵の殻の残骸が広がっている。

 ……。


「……さあて。俺はメイドたちの掃除でも手伝いに行くよ。せいぜい頑張ってくれたまえ」

「ああっ!? 待ってくれ京夜! 頼むから見捨てないでくれえええええええええええ!!」


 本気で焦るレーディルの顔には、ニマニマは見当たらなかった。


                   ■


「……なあ、これホントにどうすんの? 俺もう知らねーぞ」

「ま、まて。まだ解決策はある。……確かこの城では、鶏を数匹飼っているらしいんだが。そこから卵を取ってくればいいんじゃないのか?」

「うわっ。お前セコッ」

「何を言うか。ピンチになれば誰だってこのぐらいの事は考える」

 レーディルはそう言うと、ゆっくりと調理室の扉を開け、廊下へと出た。

 俺もその後に続きながら、さっさと取りに行こうぜとレーディルに言う。

 しかしレーディルは、首を振り。


「いや、あんまり急いでもダメなのだ。我たちは昼食準備の担当だから、こんな所で見つかったら間違いなく怒られる。なので、ゆっくり足音を立てないように」

「でも、他の人達も仕事してるだろうし、バレないんじゃねーの?」

「何を言うか。バゼル殿は部屋でくつろいでおられるし、他の方たちも多分今の時間帯だと休憩時間だ。休憩時間が終わってから取りに行きたかったが、もう我たちには時間が無い。早くオムライスを作らなくては」

「俺たちは休憩時間ねーの?」

「……あいにく、我たちの休憩時間は午後だ」

 マジかよ。ついてねー。

 てか俺は別に悪くない。なんでコイツに付き合わなくてはならないんだろう。

 俺があからさまに不満気な表情をしていると、それを察したのか、レーディルは。


「そんな表情をするでない。我たちは唯一の料理人だろう?」

「……」


 ……都合のいい時だけ料理人を強調しやがって。



  

               


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