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それっぽい天使様

「ねえ、私が付いてくる意味って何ですか? 言っても何もできませんよ?」

「……。まあ、何かゾンビたちにアドバイスしてやるだけでいいから」

「……」

 俺たちは無言で、廊下を歩き続けていた。

 一応レーディルがランタンを持っているのだが、やはり薄暗いし怖い。

 ちなみにアークはビビってうるさいので、部屋に置いてきた。本人は怖くないとか言ってるけど、もはやそれは子どもの強がりの様にしか聞こえない。

 なので今は、俺とレインとレーディルの3人。

 ……というか。


「そんな事言ったら、俺だって来なくて良かったじゃねえか」

「じゃあレーディルさんだけで良かったじゃないですか」

「そうだな」

「……。いや待て、全ての仕事を我に押し付けるな。……そうだな、じゃあその代わり我の明日の仕事を京夜たちにやってもらうとしよう」

「……いや、だから仕事って何なんだよ。この城の仕事か?」

「……まあ、やってみれば分かる。ホラ、いたじゃないか。アイツらだろう? よく覚えている」

 そう言ってレーディルは、廊下にいるゾンビたちを指さした。

 姿まで覚えてんなら、さっさと成仏させてやれば良かったのに。なんで今まで放っといたりしたんだろうか。


「おい、皆。今このニマニマした男が、お前らを成仏させてくれるらしい。喜べ」

 俺がそう言うと、辺りは一瞬で喧騒の雰囲気となった。

 しかし、レーディルは戸惑いの表情で。


「なあ、今気づいたんだが、我って幽霊だよな? 幽霊がゾンビ幽霊を成仏させちゃっていいのか? なあ、いいのか?」

「知るか、そんなの。大体お前はなんで成仏されてないんだよ」

「ふっ……。死ぬにはまだ、思い残していた事が多かったものでな」

 何やらドヤ顔を決めるレーディルだが、普段のニマニマと混ざり合って一層気持ち悪くなっている。

 一体コイツの頭は何で埋め尽くされているんだろう。どうやったらこんなニマニマする人間へとなれるのだろう。

 どんなにエロスな事で頭が埋め尽くされていたとしても、ここまではならないと思うんだが。

 俺がそんな事を考えていると、急にレインの表情が真面目なものとなり、ゾンビたちが嬉しそうな表情を浮かべている。


「成仏できなかった、哀れなゾンビ達。あなたたちの幸せを、天使レインは心から願っています。これから先も、どうか元気に生きてください」

 レインがそう言うと、ゾンビ達からはわあっと歓声が上がり、喜びであふれかえった。


 ……魔法を使えないダメ天使魔法使いが、何を言ってるんだか。

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