城がデカすぎる
「おーい! バゼル殿! 只今帰りました―――――!!」
レーディルがそう叫ぶと、奥の方から初老といった感じの男性が出てきた。
「おお、レーディル君。おかえり……と、その人達は?」
「この人達は、僕の知り合いです。この城に招待したんですが……ダメですかね?」
「いや、レーディル君がそう言うなら構わないさ。君たち、ゆっくりしていってくれたまえよ」
そのバゼルと言われた男性は俺たちにそう言うと、すぐさま奥に戻っていってしまった。
……なんちゅう豪邸で暮らしとんじゃ、コイツは。
周りにはなんか色々名画っぽいやつが飾ってあるし、これこそまさに豪邸である。
くそっ、とっても羨ましい。なんでバイトしてたらこんな豪邸で暮らせるようになるんだよ。
「なあ、レーディル。お前、バイト先で人気になったとか言ってたが……具体的にはどんな?」
「へ? いやあ、なんか我が立ってたら自然と客が集まってくる様になってな。なんでも、笑顔が素敵とかそんな感じの言葉が聞こえたような気がしたんだが」
「…………」
それは多分幻聴だろう。
俺の予想だとコイツの変態すぎるニマニマ笑いのせいで客が集まって来て、その貴族の方々に興味を持たれ、この城っぽい所に連れてこられたと。
畜生、ホントに羨ましい。俺もいっそニヤニヤしながら街を歩いてみようかな。
「……京夜さん、ニヤニヤして街を歩いてはいけませんよ? 私たちまで変態の仲間と勘違いされちゃうじゃないですか」
「なんでお前、いやお前らは、俺の考えてる事が分かるんだよ。超能力者かなんかの類か? なあ、ピピ」
俺がそう言うと、ライアの背中に乗っていたピピは納得するように頷いた。
「いやいや、きょーやの方が超能力者でしょ。動物と会話できるんだから」
「京夜の考えてる事ぐらい、表情で分かるわよねえ?」
アルゼルトがそう言うと、俺とピピ以外の全員が納得するように頷いた。
……コイツらちょっとニヤニヤしてるのが腹立つ。
「ま、まあ取りあえず、部屋に案内してやろう。バゼル殿が、部屋がかなりの数余っていると言っていたな」
「うん、分かったけどまずはそのニヤニヤ笑いをやめようか」
「え? ニマニマじゃなかったのか?」
「どっちでもいいからやめようか」
俺がそう言ったが、レーディルのニマニマが直ることは無かった。
コイツ病気なのかな。だったら早く病院に連れて行かなければ。精神科の方がいいだろうか。
「……うおっ! どんだけ広いんだよこの城は……」
レーディルが案内してくれた部屋に入ると、それはもう広くて綺麗な部屋だった。
この部屋だけでリビングの1.5倍ぐらいあるんじゃないかってぐらいである。いやあ、これはこれだと逆にくつろぎづらいんだが。
「では、我は別の部屋で休むとしよう。明日には京夜たちにも仕事があると思うから、その時までゆっくり休むがいい。では」
「「「「「「仕事?」」」」」」
俺たちがそう問い返すも、レーディルはパタンと扉を閉めて部屋に戻ってしまった。
……何? 仕事って。




