発見
「……んで。何処だよ、ここ」
俺たちが召喚されたのは、どこかの商店街みたいなところだった。
幸い森とかじゃなかったので良かったが、ここが何処なのかを知らないとまず話にならない。
「お、どうやらここはイデア聖街付近の商店街らしいな。……さて、我はどうすればいいのか」
そう言ってレーディルは、はあと大きく息を吐いた。
……やった、マジかよ。イデア聖街付近ってことは、歩く時間も省けたってことだ。
「レーディルさん、どうするんですか? 街をうろつくんですか?」
「……仕方ない。我はバイトでもして、生活費を稼ぐとするか。……あ、そうだ。幽霊の力で透明化して、強盗を……」
「やめろ」
犯罪を犯そうとしているレーディルの頭を軽く引っ叩くと、俺は身体を伸ばしながら言った。
「じゃあな、レーディル。バイト頑張れよ」
「……不本意だが、まあ頑張るとしよう。佐々木・京夜とかいったな。どっかのヤンキーみたいな見た目だし、覚えておくとしよう」
「誰がヤンキーだ。じゃあな」
俺はレーディルに軽く手を振ると、背を向けて歩き出した。
なんで俺の名前を……みたいな事言っても大体予想はつく。あんだけ天使の間で俺の事が知れ渡っていたら、当然レーディルにも多少の情報は入るだろうしな。
俺がそんな事を考えながら歩いていると、てくてくと後ろをついて来ていたレインが。
「京夜さん、結構周りの人達から目立っちゃってますよ? どうするんですか?」
「あー……」
確かに、周りの人達の視線がさっきから刺さる。
まあ変な格好しちゃってるしなあ。装備もヒビ入っちゃってるし前髪紫だし、もういい事無いよホント。
「……あの、京夜さん。天界で一体何があったんですか? その、京夜さんは京夜さんなんですけど、その……なんか変わっちゃったっていうか……。瞳まで紫になっちゃってますし……」
「え、マジか」
俺は自分の目を手で触ってみた。
自分の瞳の色は確認できないが……レインの話を聞く限り本当らしい。
なんか色んな所がおかしくなっちゃったのかなあ。知らんけど。
心配しているレインに、俺は言う。
「安心しろ。俺は俺だ。少なくとも、俺がお前らに今後振り回され続ける事に変わりはねーだろうけどな……ハハ……」
「ちょっと、何ですかその悲しそうな目は。なんか私たちが問題児みたいな感じじゃないですか」
「え? 何を今更あああああああああああ!!」
無言で皮膚をつねられ、俺は悲鳴を上げて暴れ出した。
やっぱ痛みの感覚が鈍くなったとかないわ。普通に痛いわ、ちくしょうめ。
ジンジン痛む肌を擦りながら、俺は辺りを見回した。
「てかさ、アイツらはどこだ? もう冒険初めて大分経つし、そろそろここら辺には着いてると思うんだが」
「いた――――――――!! 京夜―――――――!! レイン―――――――――!!」
「「……!?」」
アイツらが、俺たちに向かって襲い掛かって来た!




