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2度目の異世界

「で、レーディル。訊きたいんだが」

「1・2・3・4!!!!」

「聞けや」

 俺は無言でCDプレーヤーの電源を切ると、レーディルのダンスを静止させた。

 ……コイツ、本当に大丈夫なのかな。

「なあ、人間界への帰り道って分かるか? 人間界っつっても、異世界の方」

「……む? ああ、ならば丁度いい。我も異世界に行こうと思っていたものでな」

「?」

 レーディルがまた楽しそうに踊り出そうとしたので、レインに後ろから抑えてもらいながら、俺はレーディルの続きを聞く。


「いや、城が壊れてしまった以上、もうここに居る必要もないのでな。ということは、どこか別の場所を探さなくてはならないのだが……天界はビックリするほど建物が少ない。なので異世界に行こうと」

「いや待てよ。大体お前天使じゃないんだろ? じゃあなんでここに居るんだよ」

「……ああ、そういえばレーディルさんは……」

 俺の後ろに立っていたレインが、思い出したという表情で。


「レーディルさんは天使じゃなくて幽霊として、ここに住み着いていると聞きました。幽霊ってことは、なんか思い残した事や物があるらしいんですけど……まさか……」

 そこまで言ってレインは、玄関の隅に置いてあるCDプレーヤーをチラリと見た。

 ……ひょっとして。


「はっはっは! その通り! 我の依代よりしろは、CDプレーヤーだ! ちょうどこの城にCDプレーヤーがあったものでな! はっはっは!」

「……」

 そう言って楽しそうに笑うレーディル。

 なんかこういう人たまに見るよね。ダンスが好きな変人的なアレ。

 ……まあ、危害を加えてるワケでもないし、別にいいか。


「じゃあ、よろしく頼むぜ。帰り道、分かんだろ?」

「勿論だ! ……といっても面倒くさいので……魔法陣、召喚―――――!!」


 そう叫びながら、レーディルは城内に大きな魔法陣を創造した。

 ……は?

「え、なにお前。魔法陣とか召喚できちゃうの? 幽霊なのに?」

「我はただの幽霊ではない。それなりに強いのだ」

 そう言ってレーディルは、いそいそと魔法陣の中に入っていった。

 俺でも魔法陣召喚は難しいというのに。成功した時なんて最初のゼルドギア戦ぐらいだぞ。

 まあいいや、取りあえず今はコイツに感謝しよう。

 ……だが。


「……。レイン、お前も魔法陣とか使えたりしないの? 魔法神なんだろ?」

「うっ……無理ですよ。だって私魔法の創造者なだけで、天使になっちゃった以上、魔法は使えませんし」

「え、ホントに? それマジな話で?」

「マジです」

「…………」

 ……もう俺のチームに、ロクな魔法使いがいないような気がするんだが。

 ……え? アーク? あの人いきなり最上級の水魔法ぶっ放したりしてきて怖いんですよ。たまにミスして俺の頭上に水かけてきたりするし。

 ……仕方ない、その分俺が頑張って魔法を覚えるとするか。


「では! ……『異世界召喚』ッ!!」


 レーディルの声と同時に、俺たちの体は光に包まれた――――!!




 


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