悪魔の俺と戦闘魔法
「ッ……! 拘束が解けたのかッ……!?」
ゼウスが叫んでいるのが聞こえるが、俺の動きは止まらない。
俺は飛んでくる短剣を手でキャッチすると、天使達に向かって投げた。
それは見事に命中し、腹を貫かれた天使達はそのまま崩れ落ちる。
「……。『ライフ・オブ・ヒール』」
俺は最上級の回復魔法を唱えると、再び天使達に向かって走り出した。
ラファエルが炎の剣を引き抜こうとするが、まだまだ俺の動きは止まらない。引き抜こうとしたラファエルの手を蹴ると、そのまま一気に空中飛行する。
「無駄なあがきはやめろ! お前はゴミなのだぞ!」
「……五月蝿え」
「……!?」
叫んだミカエルの顔面を蹴ると、俺は手に持っていた短剣を投げた。
「がっ……!?」
短剣はミカエルの腹を貫き、同時にミカエルも崩れ落ちる。
「ああ、そうだ。全部、アンタらの言う通りだよッ……!」
俺は迫ってくる剣を躱しながら、そう言った。
「アンタらの言う通り、俺は……ゴミなのかもしれない。そりゃあそうだよな、人間なんて世界に何億人もいるもんな」
「貴様ッ……!」
「でも、アンタらみたいな連中と比べれば、人間なんてよっぽどマシな存在だと思うぜ。俺がゴミなら、アンタらはゴミクズだ」
「ぐっ……!」
言いながらも、俺は爪で天使達の体を引き裂く。
崩れ落ちていく身体。俺は今、何人殺しただろうか。
「『ダーク・リフレクト』」
アイツに教えてもらった魔法を唱えると、地面―――――否、魔法陣は天井から現れた。
俺は魔法から距離を取ると、魔法を唱える。
「『ブラスト・エンド』」
俺のその声で、部屋は一気に粉砕された。
言っておくが、この魔法は俺の中では初級魔法にも達していない。やはり使える魔力ポイントの違いというやつだろうか。
壊された部屋の中からレインを担ぐと、俺は外へと飛行する。
「京夜さん……こんな凄かったんですね」
「まだまだこんなもんじゃねーよ。……おっと、来たわ」
後ろから飛んでくる銃弾をかわしながら、俺はレインを天井へと避難させた。
振り返るとそこには怒り狂う、アマテラス、ラファエル、ミカエル、ゼウスの姿があった。
ミカエルはどうやら回復魔法で傷を癒したらしい。あのまま死ねばよかったのに。
「先ほどはよくもやってくれたな。殺すぞ」
「はっ、無理だっての。『ダーク・インフェルノ』」
俺は言ってる間にも魔法を唱えると、ミカエルの身体を闇の炎で埋め尽くした。
俺以外の全員が、唖然とした表情を浮かべている。
「き、貴様……。一体どこからそんな力が……。よく見ると姿まで……」
「へ? ……ああ」
俺が視界に映った自分の前髪を見てみると、紫色に染まっているのが分かった。
はあ、どうやら一部の髪が変色しちまったっぽい。絶対これ人間界戻ったら皆から怖がられるやつだ。
俺はポキポキと指の骨を鳴らしながら、4人に笑いかける。
「さて、そろそろ本気で死んでもらうとしましょうか。真正のゴミカスさん達?」
「―――――許さん」
怒り狂うゼウスが、俺に襲い掛かって来た。




